司法試験黙示録 @gouyokunakaze

3回目受験生。再現答案とか適当に書いてる。ツイッター→@gouyokunakaze

タグ:商法

第5弾は会社法!(商法って書くのはなんか嫌いなタイプです)

【1回目】
 E評価。会社法はねえ、苦手なんす。もうなんか意味不明なことばっか書いてたかも。

 設問1は設立。正直、ちゃんとやってなかった。手薄だったわ。それでも覚えてることをなんとか書いたつもりだったけど、あとあとAの友人に聞いたら(1)で書くべきことを(2)で書いてたみたいな(逆だったかも?)。せっかく事後設立なんかも書いたのに、基本がわかっていないことが露呈した結果、低い評価に。準備していれば十分に得点できる内容だっただけに悔いが残る。

 設問2は取消事由をいろいろと拾いまくる問題。友人と確認した感じだと、拾った瑕疵は同じような感じだった。ただ、なんか試験中に取り消しと無効の書き方を混同してたんだよね。無効ってさ、瑕疵とイコールではないじゃん?だいたいみんな瑕疵が重大かどうかを検討する。これに対し、取消事由は瑕疵とイコールでいいじゃない、せいぜい裁量棄却検討するくらいでさ。なのに俺は、取消事由なのに重大かどうかとか検討してたんだよねえ。。。マジでなんでそんなことしたのか謎すぎる。これで理解不足がバレてさらに低い評価になったのだろう。

 設問3はなんだっけ、忘れた。でもみんなたいしてできてないから差はつかないなんて言われてたな。ちなみに設問3で1行しか書いてない友人はそれでもB評価だったよ笑(設問1・2がよくできていたんだろう)

 というわけで勝負を分けたのは設立。できてりゃ合格、できなきゃ不合格。結局は基本。それだけ。

【2回目】
 C評価。まあ利益供与書いてないに等しいしな。設問1は閲覧請求、ここは事実使って丁寧に書いた。

 設問2で利益供与気がつけず、間接取引構成。「これ、間接取引に当たらんやろなあ・・・」って思いながら無理やり認定する辛さよ。最後に利益供与だ!って気がついて数行書いたけどね、書いてないに等しい。否決決議の訴えの利益も気が付かんかった。

 設問3は例のごとく変な問題、売渡請求?174条とかそのへんのなんか。まあここも差はつかない系のやつ。同条の趣旨は合ってたけどね。

 これでC。まあ利益供与書けたらAでしょうっていう感想。Eから脱出できたのは救い。


 そうすると、ここ2年は、設問1で基本(設立・閲覧帳簿)、設問2で基本+応用(取消事由・利益供与)、設問3発展系の謎問題

 一方、今年は配点も含めて大きくこれが変わった。設問1が手続きの比較とかいう謎問題、設問2がブルドック意識して書いてくれよと言わんばかりの問題で配点もでかい、設問3が重版+任務懈怠というやや応用型。

 設問1は完全にブラックボックス。とにかくやるべきことは、
・両手続きを条文に即して説明しているか。
・本件ではどうかという当てはめ。
・両手続の比較。
・本件ではどうかという当てはめ。


 という4つだと思う。まあみんなわけわかんないしとりあえず条文引いてっただろうし、差が出るのは当てはめの部分と比較の部分なのかな、と。とは言っても、使える事実も多くはないし、謎問題だからね、一部の会社法マニアは突き抜けて(200人いるかとかでしょ)、あとは団子状態で大差ないかと。不安視しても仕方ない問題。

 そしてAになるか、はたまたEになるかはやはり設問2でしょう。配点でかいし。Aをとるための要件は、
・請求根拠としての247条の類推(保全法の指摘があればGOOD←俺はわすれた)
・不利益性の要件
・平等原則違反(278条2項の指摘があればGOOD←俺は書いた)
・2要件による当てはめと評価
・不公正発行該当性←メインは平等原則違反だからサブとして


こんなところかなあ。もちろん、他の設問とのバランスはあるけれど。俺は、当てはめミスってるからね、枠はよくてもめちゃくちゃ高い評価ではないと思う。

 設問3は、前半で重版のやつ、というかTKC模試のやつよね。定款が362条かなんかに反しないかっていう。あれは初見では論点に気が付けないと思う。そこそこミスってる人もいるはず。
 後半は任務懈怠。俺は経営判断に流しちゃったからなあ。題意からはズレちゃってるかと。配点低いのが救いってところ。でも、受験者全体的な出来は案外よくないんじゃないかと思ってる。

 以上、今年の問題にも触れたけど、これまでの採点感覚も考えると、


設問1で上記4要素に沿い、設問2の処理をこなし、設問3で362条違反の可能性を指摘したうえで、任務懈怠該当性を検討すれば、Aかと。これは俺に都合のいい考えと思われるかもしれないが、そうだと思うよ。ただ、当てはめの充実度とかももちろんあるから、Bまで落ちる可能性はなくはない。

一回目で設立書けなかった俺のように、他の受験生から見れば「え?そんなの基本でしょ?」と思えるようなことが書けない層はある程度いる。確かにブルドックは著名な判例で百選にも載ってるし、多くの演習書にも載っているが、

「ん?これなんの問題だ?」層
「あ、ブルドックだ・・・どうやって書くんだっけ」層
「247類推書けない」層←けっこういそう
「109直接適用」層←これはめちゃくちゃ多そう
「不公正発行該当性検討落とし」層←これもいそう
「当てはめ評価不足」層

とまあ、いろんな層があるわけで。だからこれらをミスなく処理するってことは、これだけの層(もちろん重複層もあるだろう)を飛び越えることになる、だから上位3割たるAには入るでしょうね、ということです。おわかりいただけたであろうか。。。

俺はAを取るぞ!!!

【設問1】
 謎。出す意味も謎。一昨年の設立、去年の閲覧請求と、設問1はいわゆる「論点」として多くの問題集に記載されているであろう内容だっただけにやっぱり謎。
とりあえずは指示に従い、それぞれの手続きをまず説明し、比較検討することに。
 これはもう条文を軸に要件を明示して当てはめていくというスタイルにした。まあ条文はみんなある程度示すだろうし、むしろ求められるのは手続きの違いを見つけることと、それをわかりやすい文章で説明できるかどうかだと思った。何が正解かはわからないけども差が大きく出る設問でもあるまい。

【設問2】
 配点50点。正直、設問1での混乱を取り戻してくれたといっても過言ではない。というのも、問いを読んだ瞬間「ブルドック!事例で考えるの問題!」と思ったからである。まとめノートって多くの人が趣旨規範ブックみたいに論点ごとにまとめるのが普通だろうし私もそうなんだけど、この問題だけは答案構成をそのままノート化していた。だから、247条類推→法令違反として平等原則の指摘→ただし直接適用はできないから278条2項指摘した上で、必要性と相当性の判断→不公正発行該当性という流れが瞬時に浮かんできた。つまり、事前の準備が功を奏したって感じ。
 確かに百選掲載判例だし、みんな抑えてはいるはず。ただ、やっぱりこの答案の流れがノータイムで出てくるのは精神的に楽だし、その分の時間を他にかけられる(無駄に設問1に時間をかけてしまったが)。
 もちろん、ちゃんと事実を拾いきって評価して・・・ってところの甘さは言わずもがなだけど、筋を外さないでいられたことはよかったかな、と。

【設問3】
 前段はなんか、TKC模試のと同じなのかな?取締役会決議で決定すべき事項を総会でやるのOKなのかって話。まあOKにしましたけども。
 423条1項責任については、経営判断原則使って、内容自体は不合理だけども、過程に不注意がないとして否定。ただ、前段とリンクさせながら書くことができなかったなあーと。わりと結論は責任否定する方向にしている人が多い印象。まあ配点も低いし致命傷ではないかなー。

一応の水準は、そうだなあ、個人的には
設問1・・・ふたつの手続きを条文に即して説明していることと、その比較をしていること
設問2・・・ブルドックを意識して247条の法令違反と不公正発行の検討
設問3・・・定款の効力を362条を示しつつ論じ、任務懈怠を事案に即して検討していること

こんなところでしょうかね。

そういえば5chなんか見てると247条の類推適用うんぬんの議論があったけども、仮に直接適用で書いたとしても、その後の筋が合ってれば普通に点数はつくんじゃないでしょうかねえ。逆に類推適用書いても、後の議論が明後日の方向いくと・・・というイメージ。要は、おそらくあるであろう配点表に載るかどうかですからねえ。類推適用うんぬんのくだりは、せいぜい、素点で3〜5点とかじゃないですか、きっと。逆にいえば、その後の議論に45〜47点あるわけで・・・ここが肝かと。


正直、Aきたんじゃないかと思ってる。期待を込めて主観的評価をAとしますっ…!

設問1
1.乙社が甲社の臨時株主総会を自ら招集する場合
 この場合、①「総株主の議決権の百分の三以上の議決権を」(297条1項)、②6ヶ月前から保有し、③目的である事項を及び招集の理由を示す必要がある。また、甲社定款によれば④「必要があるとき」(定款12条、以下略)に当たる必要もある。
 本件では、乙社は、平成30年1月から6ヶ月以上前である平成29年5月時点で4%の株式を保有していた(①②)。そして、P倉庫を始めとする遊休資産の売却という目的事項、及びこれにより剰余金の配当の配当を増額すべきとの理由を示す必要がある(③)。
 もっとも、④「必要があるとき」については、一義的でなく、甲社の判断に委ねられる点でこれが認められるかは問題である。
2.甲社の定時株主総会の開催に当たり株主提案権を行使する場合
 この場合、一定の事項について目的とすることができる(303条1項)。そして、甲社は、監査役会設置会社であるから取締役会設置会社と考えられる(327条1項2号)。ゆえに、①総株主の議決権の百分の一以上の議決権(303条2項)、②6ヶ月前からの保有、③8週間前までの請求(同項後段)が必要となる。そして、この場合、取締役に対し、8週間前までに、議案の要領の通知を請求でき(305条1項)、手続きに関し、検査役の選任の申立てもできる(306条1項)。
 本件では、平成30年6月の株主総会が予定され、その基準日たる3月31日(13条)から起算して6ヶ月前から1%以上保有している(①②)。ゆえに、③の請求さえすればよい。
3.両者の比較
 まず、保有議決権と保有期間については、いずれの場合も要件を満たしており、差異はない。そして、上記1の③目的事項と理由の提示についても、重い負担とはいえず、これを自ら行うか、あるいは2の場合にように取締役に請求するかの違いであるから、そう大きく変わるものではない。
 そうすると、違いは1の④「必要があるとき」が求められる点くらいである。そして、上記のとおり、その判断は、甲社が行うものであって、剰余金の増額配当がこれに当たるかは定かではない。ゆえに、これを考慮すると、2の手続きを行うほうがより確実性あると思われる。

設問2
乙社は、本件新株予約権無償割当ての差止請求を行うことができるか。
 まず、明文の規定はない。もっとも、無償割当てであっても、株式の希釈化を防ぎ、もって株主を保護するという発行差止め(247条)の趣旨が妥当する。ゆえに、類推の基礎があるから、同条の類推適用を認めてよい。
(1)「不利益を受けるおそれ」(247条柱書)
 本件無償割当てがなされた場合、乙社は非適格者となり、新株予約権の行使が認められないことになる。また、譲渡の際には甲社取締役会の承認が必要となる。そして、取得対価も予約権1個につき、株式ではなく1円となる。これにより、乙社は持株比率が低下する可能性があるため、乙社は「不利益を受けるおそれ」がある。
(2)「法令又は定款違反」(同条1号)
 本件無償割当ては、(1)で示したとおり、乙社を差別的に取り扱うものであり、株主平等原則(109条)に反して法令違反とならないか。
 ア 新株予約権は、「株式」ではなく、同条に直接は反しない。もっとも、新株予約権にあっても、平等原則の趣旨が読み取れる規定もある(278条2項参照)。そして、平等原則の趣旨は、株式投資の収益の予測可能性を確保し、もって、株式投資を促す点にある。かかる趣旨からすれば、無償割当てにつき、必要性及び相当性が認められない場合には、平等原則違反として、法令違反となる、と考える。
 イ 本件では、乙社が過去に短期での売買や敵対的買収による支配権の取得、経営陣の入れ替えにより対象会社の財産を切り売りする投資手法を採ったとの事実がある。また、乙社のBは、甲社事業について理解のない発言をしている。このような事実関係すれば、乙社は、甲社についても、再び同様の手法を行い、甲社の支配権獲得を企図していると認められ、その結果、甲社の事務用品会社としての企業価値が大きく損なわれるおそれがある。よって、無償割当てを行うべき必要性が認められる。
 ウ 相当性について。乙社に対しては、買い増しを行うよう要請するが、乙社がこれを確約した際には、これを解消する手段が設けられており、一定程度乙社への配慮が見受けられる。また、本来株主総会決議による承認は不要であるが、社外取締役等様々な意見を反映して、株主との対話を重視するために、株主総会を開催しており、慎重な手続きを行っている。そして、その結果、出席株主の67%の賛成により可決されており、最終的には、株主らが自らの意思でこれを認めたといえる。ゆえに、相当性も認められる。
 エ 以上によれば、必要かつ相当であるから、平等原則違反とならず、法令違反は認められない。
(3)「著しく不公正」(同条2号)
 主要な目的が、会社の支配権維持に当たる場合をいうところ、Aは、乙社による支配権獲得をおそれ、これを防ぐ目的で上記無償割当てを行っているから、その目的は、支配権の維持にあるといえ、上記定義に当たるとも思える。
 もっとも、敵対的買収等これを防ぐべき必要性ある場合も否定できない。ゆえに、対抗策としてこれを行うべき必要性及び相当性ある場合には、なおも不公正発行には当たらない、と考える。
 本件では、上記(2)で述べたとおり、必要性及び相当性が認められる。ゆえに、不公正発行には当たらない。
 以上によれば、1・2号いずれにも該当しない以上、乙社の標記請求は認められない。

設問3
1.本件決議1の効力について
 本件決議1は、定款に「財産の処分は、株主総会決議によってもすることができる。」旨の条項を追加するものであるが、かかる定款は有効か。
 重要な財産の処分は、本来、取締役会決議の専決事項であって、取締役への委任もできない(362条4項1号)。ゆえに、上記のような定款は、同条に反するようにも思える。
 もっとも、かかる内容を定款で禁止するとの明文の規定はない。また、取締役会決議よりも株主総会決議で行うことは、より総株主の意見を反映するものといえる。加えて、上記条項は、株主総会決議によいって「も」としているにすぎず、なおも取締役会決議で行うことは否定されない。これらからすれば、上記条項は、同条に反せず、適法である。
 以上によれば、本件決議1は有効である。
2.Aの423条1項の責任について
 「任務を怠った」とは、法令違反又は善管注意義務違反をいうところ(355条・330条・民法644条)、取締役においては、弾力的な企業経営を行うため一定の裁量が認められる。かかる経営判断の原則に照らせば、善管注意義務違反となるか否かは、①判断の過程における不注意の有無、②判断の内容自体の合理性の有無の観点により判断される。
 ア ①につき、本件では、Q倉庫が倒壊したことにより、仮に、P倉庫を売却すると、50億円を下らない損害の発生が見込まれていたところ、取締役会において、決議1に従う必要はないとの指摘や現時点では違約金も生じない以上、遵守する必要はない旨の意見が述べられた一方、社外取締役からはこれを遵守すべきとの意見が述べられる等、様々な意見が述べらている。そして、このような中で最終的にはA提案のもと、賛成多数で可決されている。以上からすれば、Aが独断的に行ったものではなく、慎重な意見交換のもと、これを行ったのだから、その判断の過程に不注意は認められない。
 イ ②につき、確かに本件決議1を遵守したものではあるが、50億円の損害が予測できていたにもかかわらず、これを回避せず、結果として多大な損害を発生させた以上、判断内容自体は合理性を欠く。
 従って、判断内容については合理性を欠くが、その判断の過程に不注意はなく、必要やむをえない判断だっといえる。ゆえに、善管注意義務違反はなく、「任務を怠った」とはいえない。
 以上により、Aは、423条1項の責任を負わない。

*設問1は2枚目の18行目まで(23+18=41行分)
*設問2は5枚目の7行目まで(5+23+23+7=58行分)
*設問3は6枚目の22行目まで(16+22=38行分) 《いずれも答案構成用紙に記載あり》

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