司法試験黙示録 @gouyokunakaze

3回目受験生。再現答案とか適当に書いてる。ツイッター→@gouyokunakaze

カテゴリ:法律科目 > 刑法

よくもないが、悪くもない。それが、俺の1回目・2回目の刑法。ただ、共通することもある。

1.大まかな論点を外さないこと ←当たり前っちゃ当たり前
2.構成要件該当性を丁寧に。特に定義は大事。←暗記から逃げるな
3.難問にも抽象論ではなく事実で勝負すること ←意外とやる人多いらしい
4.ある程度の常識で考えること ←通称”刑法知らないおじさん”になろう



上位に食い込むには、より精緻な分析、法的評価をすることなんでしょう。俺にはできん。が、とりあえず上の1・2を守りさえすれば、Bはくる。なぜなら、俺が1・2回目ともにこれを守ってB評価だったから。

1は、まあ当たり前。これはもう論点発見能力の養成、つまり、演習に限る。つべこべ言わずに黙って事例演習やっとけって感じ。
2は超重要。まあ罪刑法定主義からの帰結って感じ(←今、思いついた)。いつでもスラスラいえるように風呂でペラペラ喋ってりゃいい。書いて覚える派は頑張って書け、俺は手疲れるからイヤ。
3は中途半端な知識バカ?みたいな人が陥る。抽象論ばっか書いてんじゃねえぞ。そこに点数ほぼないぞ。
4もけっこう大切。いきなり構成要件一つずつってか、こいつは有罪にしてやりてえっていう一般人の感覚は大事。結論ありきっぽくなるけども。自分の中の鬼検察官と天使弁護士を戦わせてみりゃいい。その対立軸が結局のところ論点なんだけどね。さて、以下、過去の成績について。

【1回目】
 平成29年の司法試験は、論点が多岐にわたり、全体的に一種の作業ゲーに近い問題。ここ2年とは異なるが、素材としてはいい問題かと。
 大まかにいえば、クレカ詐欺だったり横領と背任の区別、他に正当防衛なんかもあって。あんまりいうともったいないからこれくらいにしておくけど、とにかく書くべきことが多い。俺は比較的大まかな論点は拾っていた。ミスといえば、あれだ、死者の占有の論点のとこ。これって、死者になお占有があるのか、窃盗と占有離脱物横領罪の区別だってことはみんな知ってるしおれもそうだった。でも、ちゃんと起案でやったことなかったからかな、どの構成要件で書くかをミスった。このブログの読者層の実力はわからないが、俺は「死者の占有」っていうくらいだし「占有の有無」、つまり、「窃取」の定義に当たるかだろうなあって考えてた。が、違ったらしい。あとで確認したら「故意」の要件で問題になるんだね、これって。そんなん当たり前やろ、と思ったあなた。素晴らしい。俺と同じ考えだった人、これでもうミスらないよな!そういえば黙示録のブログで…って思い出せばいいだけ、はい、簡単。

 とまあ、そんなミスもしてたわけだけど、とにかく定義を意識した。
 「人を欺いて」(246条1項)とは、・・・
 「偽造」とは、・・・
 「窃取」とは、・・・

 こういうのは極力丁寧に書いた。今読みながらさ、この3つの定義言える?理想はいつでも言えること。妥協するなら、起案する前に暗記できればよい。なんなら刑法は中日(=なかび)あるしね。俺は、法的評価は薄かったけど、この意識でBにとどまったと思う。同期で残念ながら落ちた人も、
 
 「刑法はBだった。定義はとにかく書いた。

 なーんて言ってたからそうなんだろう。これは、近年の学説対立問題であっても、同じでしょう。暗記苦手といって逃げないように。

【2回目】
 ご存知、形式が変わって焦った平成30年。でも、名誉毀損は模試でもやったし、俺、刑法各論の単位落として再履でさ、名誉毀損とか業務妨害とか財産犯以外の各論もめちゃくちゃやって定義覚えてたからね、それでなんとかなった。
 設問2なんて私見すら書いてない、設問3は不能犯の議論使ってない・・・それでもB。

 いずれの年もBだったわけだが、とにかく大切なことは上の4つ。これで、沈まずには済む。ただ、上位になるには上で書いたような要素が求められるのだろう。


 さて、今年はどうか。詳しくは再現とか感想の記事を見てほしいが、今年はいろいろとやらかしている。以下、やらかしポイントについて。

①設問1で2項詐欺処理。
②設問3で誤想防衛書かず。
③設問全体を通して故意の認定がない(1行くらい書いたかもしれないが多分混乱して落としてる)

上の要素に照らし合わせてみると、大まかな論点という点で、詐欺と窃盗の区別の論述が浅い。ほんといわかっているのか?と言われても仕方ない感じ。誤想防衛外したのもそう。

 構成要件については、故意落としてる点でまずい。

 設問2の事後強盗と脅迫の区別はある程度抽象論も仕方ない。基本的には事実勝負したからここはOK。

 常識。設問1は世間一般の常識だとどうなんだろうか。”特殊詐欺”と言われる点では詐欺っぽいが、刑法的には窃盗であるっていう感じなのかなあ。予備校解説ではいろいろあるみたいだが、正規ルート(=試験委員が想定する正解筋)は窃盗だろうと思う。出題趣旨で、先に書かれているほうが正規ルートと個人的には考えているが、おそらく窃盗であると予想。これは出題趣旨を待ちたい。

 そうすると、詐欺もダメではない。ダメではないが、いい評価はもらい難いのでは、と。よっぽど説得的じゃないとね。俺のはそうじゃない。とすると、ここで差をつけられるのは必至か。

 さて、評価はどうか。5chを見ると、B評価という指摘もあった。一方で、爆死という書き込みもある。あまり俺の刑法に触れられてないから、判断は難しいが、自身の手応え的には、Aはもちろん、B取れた感覚もない。かといって、FやEの母数自体が少ない今年、設問2でかろうじて耐え、三段論法を守ったことを併せれば、Dで踏ん張れると思う。あるいは、設問1の詐欺ルートでそこそこ点数が入ればCもありうる、こんなところ。というか、不安な刑法でB以上きたら総合で合格圏内に一気に入ってくるだろう。そういう意味では、B評価って言ってくれた方の相場観に全ツッパしたいところ。

 来年以降どうなるか。とにかく構成要件とその定義の暗記。これを大切に。

あと、10日だよ・・・ふええええ。
  

【設問1】
 やってしまった、設問1。そうだよなあ、窃盗に流すよねえ、フツー。
なんていうんだろ、直感的になんとかして詐欺罪で立件したいって思っちゃったんだよね。でも、ダミー封筒のすり替えのせいで詐欺罪は無理と思った。だから、その一個前の段階で、つまり、暗証番号書かせた紙を一度受け取った時点で無理やり2項詐欺で書いてしまった。。。
 自分でも「それは無理があるだろ」って書きながら思ってたしなあ。というか正確にいうと、問題文の事実を読み違えてて、処分行為書いてる段階で気がついだんだよね。その時点でちゃんと窃盗に流せばよかったんだけど、、、まあ、今となってはどうしようもない。
 ここは詐欺否定からの窃盗が正解筋でしょうねえ。民事系が例年よりできたなあって手応えがあっただけに、ここでくじかれましたね、はい。評価はかなり厳しいものになると思う。

【設問2】
 事後強盗罪の法的性質は短答でも出るし、去年みたく異なる立場問題出るならここはクサイなと思ってたから、そういう意味で当たったな、ってのが正直な感想。ただ、論文として書いたことはなかっただけにどう書いたらいいかがわからなかった。用意していたとは言っても、身分犯構成なら真正身分犯で①の立場に寄ることになるし、結合犯構成なら承継的共犯ルートで否定すれば②の立場に寄るってくらいのもんだけども。
 いつもなら、実行正犯から書いて(今回の甲)、あとは共謀の2要件ないし3要件で処理するんだけど、法的性質論はどこで論じたらいいのかもわからない。しかも、脅迫をしたのは甲じゃなくて乙だから、甲の罪責検討で乙の話を出さざるを得ない。
 そして、そもそも法的性質論で戦わせるだけでいいのかっていう問題もあった。
 いろいろ考えた結果、とにかく対立軸を作って検討しようと考えた。これを②の立場から批判して、私見で答えればよい、と。
 ①の立場では、まずはやはり甲から。「窃盗」、「脅迫」(ここで現場共謀を認定)、「逮捕免脱目的」検討して238条認めてから、乙について身分犯処理。
 ②からは対立軸としてア共犯の錯誤(万引きと勘違い)、イ窃盗の機会性(いらなかったかも)、ウ「窃盗が」の法的性質(結合犯処理)を端的に指摘。
 私見では、②に答える形を採りつつ、全て②の反論を否定。去年は私見書かなかったので特に注意しました。
 問題文では、私見でいわば第3の立場に取ることも否定はされていない。となると、
A身分犯からの真正身分犯→事後強盗罪の共同正犯
B身分犯からの不真正身分犯(事後強盗を加減的身分とみるのは厳しいか)
C結合犯からの承継的共犯肯定→事後強盗罪の共同正犯
D結合犯からの承継的共犯(本件での適用の否定=いわゆる中間説?)否定→脅迫罪の共同正犯
E結合犯からの承継的共犯(一般論として否定)否定パターン→脅迫罪の共同正犯
私が知っている限り一応これだけあるってことになるのかな。間違ってたらごめんね(まだ受かってないからごめんで済むと思ってる)。

【設問3】
またしても謎問題。「各々の説明の難点」というからには、複数あげることが求められるんでしょう。

ええ、方法の錯誤、すっ飛ばしてしまった。というか、よく考えたら、いつもなら逐一一言触れるべき故意を全体的に飛ばしていることに気づく。これもけっこう痛い。

とりあえず正当行為→被害者の承諾→正当防衛→緊急避難と順々にやったわけだけど、前半無駄に書いたせいで肝心の責任故意のところほとんど何も書けず。試験委員が嫌いな広く浅い答案になってしまった。。。

というわけで、設問1死亡、設問2書き方不明、設問3錯誤と責任故意書けずというどうしようもない答案になってしまった。1回目も2回目も刑法はBで、今年は俄然Aを取りに来たんだけどねえ。Fかなあ、やっぱり。せめてE〜Dでとどまってくれないかなあ、と淡い期待を抱きたいところではあるけどやっぱ厳しいよなあ。
3つすべてできた→A
3つすべてできない→F と仮定すると、
2つできた→C〜B
1つできた→E〜D みたいな理屈でさ、設問2が一応は書けたとしてE〜Dこないかねえ。

主観的評価予想は、Eとしておきます。

設問1
1.甲が、Aの本件キャッシュカード等を領得した行為につき、詐欺罪(246条1項)が成立しないか。
(1)「人を欺いて」
 財産的判断に関する重要な事項を偽る場合をいう。
 甲は、Aからキャッシュカード等を入手するため、A方を装い、金融庁職員であるように装い、Aに対し、キャッシュカードと暗証番号を書いたメモを同封するように申し向けている。Aは、これを信用して、本件キャッシュカード等を甲に手渡している。Aが、仮に、甲が真実は金融庁職員でないと知っていれば手渡すことはなかったと認められるから、財産的判断に関する重要な事項を偽った、といえ、「人を欺いた」に当たる。
(2)「財物」
 有体物をいうところ、本件キャッシュカードは、暗証番号と一体となって現金を引き出しうる地位を取得するものであって、財産的価値が認められるから、「財物」に当たる。
(3)「交付」
 錯誤に基づいて財物を相手方に交付する場合をいう。本件では、一度甲に本件キャッシュカードを手渡しているが、その後、Aが印鑑を取りに行っている間に甲がダミー封筒とすり替えを行っている。そして、Aはこれを知らず、自身の本件キャッシュカード等がAによって持ち去られたとの認識を欠いている。ゆえに、錯誤に基づいて交付したとはいえず、この要件を満たさないことになる。
 以上によれば、1項詐欺罪は成立しない。
2.では、2項詐欺罪が成立しないか。
(1)「財産上の利益」
 直接、具体的な利益が移転した場合をいう。
 上記のように、甲は、本件キャッシュカードとともに暗証番号をも入手している。これにより、現金を引き出しうる地位を具体的に獲得しているといえるから、財産上の利益の移転が認められる。
(2)そして、かかる利益は、封筒のすり替えを行う前の時点で、移転している。そして、その利益の移転は、上記で述べたとおり、金融庁職員と信じたことを理由としてなされていることからすれば、欺罔行為により、利益が直接移転したといえ、因果関係が認められる。
 以上によれば、1項詐欺罪は成立しないが、2項詐欺罪が成立する。
*この後、問題文の指示を見落として3〜4行くらいATM窃盗についても書いております*
設問2
1.①の立場について
(1)甲についての事後強盗罪(238条)の成否
 ア 「窃盗が」(238条)
 窃盗犯人をいい、その未遂・既遂を問わない。甲は、ATMから現金を引き出すことに失敗しており、窃盗未遂が成立するから、「窃盗が」に当たる。
 イ 「脅迫」
 甲は、乙に対し、Cの反抗を抑圧してくれることを期待して「こいつをなんとかしてくれ。」と言い、これを受けて乙は、Dに対し、ナイフを示して「離せ。ぶっ殺すぞ。」と言っている。従って、甲乙間に、Dに対する脅迫行為についての現場共謀が成立しており、この共謀に基づき、乙が、上記のような身体に対する害悪の告知を行っている。ゆえに、一部実行全部責任の原則により、甲にも「脅迫」が成立する。
 ウ 「逮捕を免れようとする目的」
 甲は、この場から逃げるため乙に上記のように申し向けており、逮捕免脱目的も認められる。
 以上により、甲には事後強盗罪が成立する。
(2)乙の罪責
 乙は、甲の事後強盗罪につき、脅迫行為から関わったにすぎないが、いかなる罪責を負うべきか。
 ア 「窃盗が」は、行為の主体性を表すものである。従って、共犯と身分の問題として処理すべきであり、具体的には、構成的身分犯であれば、65条1項により、加減的身分犯であれば、同条2項により、その罪責を負うと考えるべきである。
 イ 事後強盗罪は、「強盗として論ずる。」とされるものであって、刑の加減にかかわらない。ゆえに、加減的身分犯でなく、構成的身分犯に当たる。従って、身分のない者についても、共犯とされるから、乙には、事後強盗罪の共同正犯(60条)が成立することになる。
2.②の立場について
 まず、甲に事後強盗罪が成立することに争いはないが、以下の点で、①と異なり脅迫罪が成立するにとどまる。
ア まず、共謀に錯誤がある。すなわち、乙は、甲が万引きし、ショルダーバッグに盗んだものをいれたものと勘違いしており、キャッシュカードの事情については何ら認識がない。従って、共謀の射程外であり、Dに対する脅迫行為のみ共謀があるのだから、脅迫罪の限度で共同正犯が成立するにすぎない。
イ 次に、窃盗の機会性について。脅迫は、窃盗の機会になされる必要があるところ、ATMからの引き出しと、上記脅迫行為は、全く別個になされたものであって、窃盗の機会になされたとはいえない。
ウ そして、「窃盗が」の性質について。これは、実行行為の一部を定めたものにすぎない。ゆえに、結合犯であり、承継的共犯の問題として処理されるべきである。そして、因果性あることが共犯の処罰根拠であるから、先行行為の効果が残存し、これを利用したといえる場合にのみ、承継的共犯が成立する。
 本件では、先行行為は甲のATMからの引き出しであり、その効果は何ら形をなして残るものではなく、また、乙への利益帰属等もないから利用したともいえない。よって、承継的共同正犯は成立しない。
 以上によれば、乙に事後強盗罪は帰責できず、脅迫罪の共同正犯が成立するにとどまる。
3.自らの見解
 まず、甲の事後強盗罪の成立には争いはない。従って、②のア〜ウの点について検討する。
 ア 共謀の錯誤について。確かに、乙の認識には誤りがあるが、同一の構成要件内である限りは、法定的に符合し、責任非難を問えるから、共謀の射程内であると認めてよい。
 本件では、ATM窃盗であろうと、万引きであろうとどちらも事後強盗罪における「窃盗が」という同一の構成要件である。従って、その認識に誤りがあっても、共謀の射程内といえるから、②のアの反論は認められない。
 イ 窃盗の機会性について。時間的場所的観点から判断されるところ、場所はATMのあるコンビニであり、それほどの時間が経つことなく行われている。そして、ATMの被害者はコンビニであり、Dはこれをと異なるが、窃盗の被害者と同一であることは求められていない。従って、窃盗の機会になされたといえるから、この点での②の反論も認められない。
 ウ 「窃盗が」の解釈について。仮に、②の立場のように結合犯と考えると、窃盗への着手が事後強盗罪の実行の着手となりかねず、処罰範囲が不当に広がるおそれがある。ゆえに、②の立場は採用できず、①のように、共犯と身分の問題として処理すべきである。
 そして、65条は、1項が間接的な連帯作用を、2項が刑の個別的作用を定めたものである。従って、真正身分犯であれば1項により、不真正身分犯であれば、2項により犯罪が成立する、と考える。
 本件では、事後強盗罪は身分により刑の軽重があるわけではなく、真正身分犯に当たる。従って、同条1項により、乙には、事後強盗罪の共同正犯が成立する。

設問3
 まず、丙が、ボトルワインを投げつけ、Dに加療約3週間の頭部裂傷を負わせた行為は、生理的機能に障害を加えるものであって、傷害罪(207条)の構成要件に該当する。
 では、刑事責任を負わないとするためどのような理論が考えられるか。
(1)まず、正当業務行為(35条)が考えられる。しかし、丙の標記行為は、何ら「法令」に基づくものでもないし、単なる客であって「業務」でもない。従って、同条の適用は難しいと考えられる。
(2)被害者の承諾はどうか。Dも、黙示的には丙に助けを求めており、ボトルワインを投げつけることへの承諾があったとも思える。しかし、このような黙示の承諾を広く認めることは、妥当でないし、自己への投げつけ行為まで承認していたとも考えられないから、被害者の承諾により違法性阻却も困難である。
(3)正当防衛(36条1項)はどうか。同条は、正対不正を定めた規定である。本件では、Dについては何ら不正性はなく、丙とDとは正対正の関係にある。従って、正当防衛成立の前提を欠くから、不成立となる。
(4)緊急避難(37条1項)はどうか。各要件を検討する。
 ア 「現在の危難」
 甲は、Dに対し、「本当に刺すぞ」と言ってナイフの刃先をDの胸元に突き出しており、Dの生命に対する侵害が間近に差し迫っているといえるから、「現在の危難」が認められる。
 イ  「避けるため」(=避難意思)
 丙は、Dを助けるために標記行為をしているから、避難意思も認められる。
 ウ 「やむを得ずにした行為」
 手段としての相当性をいうところ、30際の女性が、若い男性25歳に対して行った行為であり、他に採りうる手段がなかったのだから、相当な手段だったといえる。
 エ 「避けようとした害を超えなかった場合」
 法益が均衡していなければならないところ、Dには生命侵害の危険があり、一方で頭部への投げつけも生命侵害のおそれがある。従って、法益は均衡しているといえ、緊急避難が成立するようにも思える。
 オ もっとも、本件では、甲ではなく、Dに誤って被害が生じているという問題がある。これについて、丙の責任故意が否定されないか。本件では、その否定は難しいと思われる。

*6枚目の8行目まで

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