司法試験黙示録 @gouyokunakaze

3回目受験生。再現答案とか適当に書いてる。ツイッター→@gouyokunakaze

カテゴリ:法律科目 > 憲法

 出題趣旨が発表されたわけで。個人的には採点実感の方が受験生のリアルが書かれていて好きだけどね。所詮は委員会側の求める答案が出題趣旨なのだから、そのとおりに書けるはずはない。

さて、今年の憲法について。まず、何を書くことが求められていたのか、すなわち、どこに配点があったのか。

1.虚偽の表現の保障の有無について→”の議論も有り得る”
 「保障なしor程度が低いor虚偽表現も有益」
つまり、検討すればもちろん配点はあるが、メイン論点ではないということか。格別に厚く書く必要はなかったのかもしれない。

2.措置①の不明確or過渡広範の検討→”が求められる”

つまり、メイン論点であり、厚く書くことが求められていたといえ、配点も大きい。具体的には、
(1)目的の認定
(2)本件の混乱の事例への評価
(3)対抗言論や報道による検証の優先性
(4)他の手段の可能性
(5)真実性の判断が難しいことの”留意”
(6)恣意的な訴追を含めた政府による全決定への”懸念”

が記載されている。(1)(2)(4)あたりはみんな拾ってくるはずだから、ここで守りたかったところ。(3)はむずいな。(5)(6)にたどり着ければ、良好または優秀くらいのもんだろう。俺は(5)にはやや触れたような感じがするな。

3.措置②について

(1)事業者の自由であるとともに、発信者の自由の制約であることの分析→”が求められる”

ちゃんと書き分けなきゃダメだった。言い換えれば、両方に配点があったということになる。

(2)SNSの拡散性が、規制の正当化になるか→”論じられる必要もある”

SNSはすぐ拡散されちゃうやん!ということには触れないといけないし、配点がある。ツイッター等を想起して、書けたかどうか。俺の再現答案では、行手法んとこで触れてるね。

(3)SNS事業者が私的検閲の主体となることを論じること→”も不可能ではない”

必須ではないが、そういう書き方もある。いわゆる加点要素というものか。なきゃないでいい。

(4)明確性の有無→”が問題になるかもしれない”

→”その場合、合憲限定解釈の可能性…も有り得る”

ここも、そういう筋もあるよ、という指摘。加点要素か。

(5)内容中立規制とする見解→”があるかもしれない”

但し、簡単に内容中立規制だ!と認定することはよろしくなかった模様。あるかもしれないという表現から、ここも必須ではなく、筋の1つとして示されているにすぎないのだろう。

(6)検閲や事前抑制の問題との関係→”として論じることも可能””

上記(5)に同じく、1つの筋を表したもの。点数にはつながるが、書いてないことがイコール不合格ということではない。但し、一旦発表されていることへの”留意”が必要であるから、簡単に認定してはいけない。

(7)(判例名こそ明示していないが)グーグル事件の事例→”も参考になり得よう”

これも筋のひとつ。以下、同文。

(8)行手法との関係(下記ア・イ)→”をどう評価するか問題となり得る”
ア 措置②が司法手続ではなく、行政手続であること
イ 行手法の適用除外

なり得るという表現からすると、ここも実は必須ではなかったのかもしれない。が、その表現からすると、上記(3)〜(7)よりかはやや触れてほしいというメッセージにも受け取れる。

(9)より制限的でない他の手段の検討→”が必要となる”
この書きぶりから見ると、中間審査ないしは厳格審査基準にもっていってほしかったということなのだろうか。俺は、22条でいったがゆえに、緩やかな審査にしてしまったが。いずれにせよ、他の手段としていくつか例示もされていることからみると、ここも要検討事項であったのだろう。

以上について、”自らの示した判断枠組みで”書かなければならない。

さて、これを少しまとめてみよう。書く”必要がある””求められる”とされたのは、
A 措置①の明確性or過渡広範性
B 措置②が事業者の自由であるとともに、発信者の自由の制約であることの分析
C SNSの拡散性

このあたりだろうか。そして、措置①のAについては拾うべき事実がある程度示されており、ここを基本問題と意識して出題したのではなかろうか。

一方、措置②は、複数の筋が記載されており、これといった正解はないような感じ。なんなら「事業者の自由」とごまかしており、ワンチャン22条構成でも点つくんじゃねーかと期待するほど。まあ、成績表返ってくればわかるが。措置②を応用的な問題として出題しているのではないだろうか。そうすると、難しいのが採点方法。どうやって採点したんだろう。考えられるとすれば、やっぱり論理的かどうか、適切な論証か、憲法的な評価としてどうか、説得的かどうかここら辺をある程度抽象化して採点するくらいしかやりようがないように思える。

さて、これからの憲法学習はどうあるべきなのか。

はい、わかりません。俺もできないもん、憲法。

しいていうなら、憲法はやりすぎないことをおすすめする。あ、短答分はやるべきだけどさ。コスパが悪いよ、憲法は。司法試験の合格は憲法で決まるわけじゃないし。最低限の形式さえ保てれば、俺の過去2回の経験によればDはくる。これなら他の科目でいくらでもなんとかなるからね。Aとりたい奴は知らん。

あとは、合格した受験生の言ってことであっても、憲法はそう簡単に信頼しない方がいい。書き方は信頼してもいいのかもしれないが、中身は合格者だってわかってないよ。憲法オタクとかなら知らんが、どうせ現場でそんなの書けないしな。だから、ゼミとかやるのも手だけど、こと憲法に関しては、一受験生や合格者の言うことは鵜呑みにしたらあかんと思うなあ。ちゃんと憲法の教授に見てもらうべきよ。俺はめんどくさかったし、Dでいいやと思ってたからやらなかったが。だから、上でゴタゴタ書いた俺のもあんま信用したらダメよ。

あ、昨日(9/17)電気ついた!8日ぶりの電気。電気なしマジできつかったわ。でもなんだろ、ちょっと強くなれた気がするぞ。ランタンの灯りの中でレトルトカレーのパウチにつけて食べたうどんの味も、自衛隊が用意してくれたお風呂の温かさも俺は一生忘れん。合格の喜びはもう忘れた。合格すると空が青く見えるって書いてあったから見たけどただ暑かっただけだったぞ、嘘つきめ。虚偽表現で訴えてやるーーーーーーーーーーーー!!!!

知財につき、過去の試験結果から読み解く憲法の相場観について。

といっても、知財のように1年目と2年目で大きく結果が変わったわけではなく、むしろまったく同じ評価なのであまりたいした話ができない。そこで、友人談も交えながら書いてみる。

というわけで、1回目も2回目も全く同じD評価。つまり、三段論法とか一応の形式できてるから内容カスだけどDにしてやるか、くらいの答案。もともと、憲法起案ではいい評価取れたこともないし、コスパ論から勉強時間も多くは割いていない。ゆえに、妥当といえば妥当なのだが。あ、2年目のTKC模試はAだったな、そのくらいか。

1回目について。これはつまり平成29年の問題というわけだが、過去問演習していることはご存知のとおり、外国人の妊娠出産の禁止についてだったんだよね。で、わりと誘導があって、13条という広い意味での権利選択とか、31条で書いてほしいあたりは外さなかった。もちろん、外国人の人権享有主体性も拾った。審査基準の理由付けも、妊娠出産がどういうものなのか、かなり具体的に書いた。正直、B〜Aくるんちゃうかと思ってたのだが、蓋を開ければD評価。なぜか。

 書けてない内容を考えると納得もいく。まずマクリーンについてだが、「権利の性質上うんぬん」は書いた。が、そのあとの部分の「…斟酌されない自由までを…」のくだりの意識がなかった。ゆえに、マクリーンっぽい雰囲気はあったが、ちゃんとは書けていなかった。

 他にも、憲法31条違反の点について、川崎民商を書けてなかった。何書いたかは忘れたが・・・。いずれにせよ、マクリーン、川崎民商という基本判例を示せてはいなかったというミスがあった。

 他に考えられるとしたら、憲法上の評価ってやつだろうか。未だにわからんが。評価してるつもりでも、傍からみたらできてないのかもしれない。

 憲法でぶっちぎりのAを取った友人がいる。再現も見たけど、正直なぜあれがぶっちぎりAかはわからんって感想だった。周りもそう言ってた。でも確かに拾うべき論点はしっかり拾ってた。評価は特別すごいこと書いてるという感覚はなかったな。分量も普通。これで余計に憲法がわからなくなってしまった。


んで、2回目。またもやD。でも、こっちは理由がわかってる。平成30年はご存知、憲法の形式変更の年。そして、出題されたのは21条論、22条論の2本柱。前者は文面審査もあったかな。

 やらかしたのはなにかというと、権利選択。青少年保護条例っていえば21条なんだが、知る権利という言葉が頭に全く浮かばないという失態!圧倒的失態っ・・・!!結果、19条構成という致命的ミスをやらかした。文面審査もしたし、22条も無難な処理はできた。ワンちゃん権利選択ミスっても高評価くるかという淡い期待と、一発Fなんじゃねという恐怖に怯えた夏を過ごしたわけだが、結局Dでした。22条の方で少しは持ちこたえた、ということなんだろうか。19条のほうはほとんど点が入っていないのかもねえ。

 ちなみに友人3人がAを取っていたが、文面審査は落としてた。それでも、21条外すなんてことはなかったね。いずれも判例の意識ってのはあまり感じられなかったが、Aはきてた。一人は評価はかなり意識したとは言ってたな。

 さて、これらから俺が感じた相場観について。

 まず一回目に友人のAと自分のDとを比べると、判例を意識したうえで、広く憲法上の論点を拾えているかという点で大きな差異があったのが事実。基準の理由付けはなんなら俺のほうが細かかったし、いわゆる憲法上の評価も普通な感じだった。そこで感じたのは、「判例きちんと書くことと論点を広く触れることが大事なんだな!!」ということ。これが1回目受験のあとの気持ち。


 そして、2回目。俺は権利選択ミスってるからそりゃどうしようもない。そしてAの三人は文面審査は落としてるけど権利選択はミスってない。そして、うち一人は評価への意識。ただ、いずれも判例への意識はさほどなし。そこで感じたのは、「権利選択をミスらず、評価がきちんとできていれば判例書かなくてもAくるんや」ということ。これが2回目受験後。

 まとめると、まず要素としては、①権利選択、②憲法上の論点、③憲法上の評価、④判例言及があるように思える。まず、①を外すと一気に下にいく。でもそれは確かにそうで、①を見誤るということは、②を見誤ったことになり、結果、④にも触れられないことになる。できるのはせいぜい、③くらい。だから、配点に乗らないってのも納得がいく。
 そして、1回目ぶっちぎりA君は、①OK、②OK、③普通、④OK。これでぶっちぎった。一方、2回目A三人組のうち一人は、①OK、②OK、③good、④△。これでA。

 つまり、4つの要素のうち、3つクリアするとAくるっぽいな。全部クリアするとぶっちぎる。こう考えると判例で書くということは、1つの要素であって、Aを取るなら必須ではないが、ぶっちぎるなら必要ということになる。そして、要素のうち2つならC〜Bなんだろうか。例えば、①と②できてるけど、評価いまいち、判例言及なし、みたいな。3つ外すとE〜D、全部外すとF。以下、当てはめてみる。

 1回目は①はクリアした。が、②に気づかず、あるいは厚く書けず、③も普通かそれ以下、そして④もできていないから、結果、①と③が点カスッた程度に過ぎず、D。
 2回目はまさに上の通りで、①をミスった結果、②④書けず、③が普通。ただ、22条論で持ちこたえてD。

 そうすると、3回目の今年はどうか。まず、前半の21条論は、①はOK、②は特に保護範囲論がメイン論点に思える。それなりに厚くは書けたと思う。③はあんまりできなかった。④は、挙げた判例がどうかって感じ。総じて、ギリ持ちこたえるくらいか。
 一方、後半は22条で処理してしまった。つまり、去年と同じ轍を踏んだわけだ。結果、①権利選択をミスり、②④もダメでしょう。
 となると、去年同様、D評価あたりとみている。これは憲法の感想でも述べたが。

 自分の答案がどの程度の評価になるのか。今一度、4つの要素から再考してみては???

「ほー、やっぱり去年と同じ形式か・・・。そしてフェイクニュースうんぬんもいかにもそれっぽくていいい問題じゃないか」これがファーストインプレッション。
 とりあえずどうやら、立法措置①と②2つが大きなテーマ。①はまあ虚偽表現一般ということなので、深く考えることもなく21条。こんな法律普通に考えてアウトやろってのが大方のイメージではあると思うが、たかだかウソっぱちがどういう理屈で重要な権利として保障されるかを書くのは意外と困難だった。つまり、結論違憲にもってくのはまあわかるとして、そこまでの過程を憲法答案として書くのが難しいのではないでしょうか。まあ、それを求める試験なんすけどねー。
 私の答案はというと、うーん、正直再現度はかなり低いかと。というのも、マジで思い出せない。もうちょっと具体的に書いたような気もするし、もっと書けてないような気もするし・・・。ただ、名誉毀損とか公表罪あたりをどう使うべきかはわからなかった。保護法益が違うんだから代替手段としてはなんかおかしい気がするし。それでも、なんか無理やり手段審査のとこで書いたような覚えはあります。
 あとは、虚偽表現という定義規定もよーわからんので明確性違反として書いてみた。僕はこれを31条で書いちゃってるのでね。ほんとは21条で書いたほうがいいってどっかで見たし、まあ何も書いてないよりかはいいんだろうけどさ。

 んで、立法措置②。今年もやってしまった権利選択ミス。これは僕の悪い癖なんだけど、「①で21条聞かれているんだから②は違うやろ」みたいなことをすぐに考えちゃうんだよねー。ちなみに去年は21条と22条だったわけだけど、21条んとこ19条で書いちゃってるからね、僕。今年こそは権利選択、条文選択だけはミスらないようにしようと思って百選掲載判例中心に読み直したんだけどしてやられましたわ。
 その結果、緩やかな審査基準にしちゃったし、わりと軽く合憲にしちゃうし。結論はともかくとしても、全体的に浅いからなあ。権利選択は違えど、なるほど!!って思わせるような答案でないのは確か。ロー2年のときと同じクオリティレベルの答案ですわ。
 あと、行手法適用除外のところも一応31条は書いてみたが考慮要素あんまり思い出せず、ただ、緊急性が特に重要ってのは覚えてたから無理やりそこで勝負した感じ。確かそのタイミングで、あれ?なんか検閲っぽくね?みたいにふと考えて無理やり書きなぐった記憶があります。いつもならその先の事前抑制検討するけど時間的に書いてないはず。

総合すると、
・22条で書いちゃってる、んでもって措置①の21条も書き負けてる感
・内容が全体的に薄い
・名誉毀損罪うんぬんの使い方が謎

とまあ大打撃を受けてしまった。ちなみに2年連続で憲法はD評価。特に去年は権利選択ミスってDだったことを考えると、今年もそれ以上はないかと。そして、去年のほうがまだマシな答案だったことも考慮すると、EないしF濃厚でしょうねえ。あー辛み。

第1 立法措置①について
1.規制法6条(以下、法名略)が虚偽表現を一般的に禁止することは、表現の自由(21条1項)の一つとして保障される言論の自由の侵害として、違憲の疑いがある。
(1)まず、虚偽表現も表現の自由として保障されるか。この点、せん動や、あおり行為等、一定の場合には無価値表現であるとして、その保障外であるとも思える。もっとも、虚偽表現であっても、それが各個人の人格的側面に密接している場合もあり、虚偽表現を通じて自己の思想等を他者に伝達しうる場合もある。ゆえに、虚偽表現についても、言論の自由として保障されている。
 そして、法6条は、虚偽表現を一般的に禁止するものであるから、その制約も認められる。
(2)では、その違憲性はいかなる基準で判断されるべきか。この点、判例は、上記のような無価値表現等について、比較的緩やかに判断する。しかし、上記のように、虚偽表現であっても、人格的側面を有しており、その権利は重要なものである。また、虚偽表現を一般的に禁止することは、勘違い等の場合にもこれに当たるおそれがあり、萎縮効果を招きかねない。加えて、後述するように、違反者を罰則に付する点で、強い規制であるといえる。ゆえに、厳格に判断されるべきであり、目的が重要であり、手段との間に実質的関連性なければ違憲である。
 ア まず目的について。爆発事故の際、虚偽の情報が流布されたことで、大きな混乱が招かれたことを受けて、法は、社会的混乱の防止(1条)を目的と定めており、かかる目的は、重要である。
 イ 手段について。まず、虚偽表現一般の禁止をもって上記目的を達しうる効果があるとの科学的根拠はない。また、最大30万円の罰金の定め(25条)についても抑止力として機能するか不明である。加えて、虚偽表現一般を禁止せずとも、名誉毀損罪等、刑法上の罰則をもってすれば一定程度の効果もある。ゆえに、上記目的を達成するための実質的関連性を欠く。
 ウ 以上によれば、制約は正当とされず、違憲な規定となる。
2.「虚偽表現」の定義規定たる法2条1号は、その内容が不明確であって、明確性の原則に反し、憲法31条違反として違憲の疑いがある。
 判例は、一般人を基準としてその意味を読み取れるか否かにより判断していると考えられるところ、このような判断基準は国民の予測可能性に資する。ゆえに、本件でも、これに従って判断する。
 本件では、「虚偽の事実を、真実であるものとして摘示する表現」とされる。もっとも、「虚偽」の意味合いが、自己の記憶に反する場合をいうのか、それとも客観的事実に反する一切をいうのかは明らかでない。そして、仮に、後者である場合には、いわゆる勘違いの場合であっても、これを処罰されるおそれあることも否定できず、萎縮効果にも繋がりうる。以上からすれば、一般人を基準とするといかなる意味かが明らかではないため、不明確であるといえる。
 ゆえに、法2条1号は、憲法31条に反し、違憲である。

第2 立法措置②について
1.SNS事業者に対し、特定虚偽表現の削除を求め(9条1項各号)、これに従わない場合には、削除命令が可能とし(2項)、さらに、懲役6月以下又は100万円以下の罰金という罰則を定めている点(26条)は、事業者の職業遂行の自由(憲法22条1項)を侵害するものとして、違憲の疑いがある。
(1)職業とは、自己の生命を維持するために継続して行う活動をいうところ、かかる活動は、個人の人格形成にも資することからすれば、同条は、職業遂行の自由をも保障した規定である。
 SNS事業者も、事業者としてかかる遂行の自由が保障され、法9条2項が、規制委員会による削除命令を認めることは、SNS事業者の職業遂行の自由を制約するものである。
(2)では、いかなる基準で判断されるべきか。職業遂行は、経済的自由であり、また、社会的相互関連性を有する。加えて、規制の目的も様々であり、一義的に判断することはできない。一方で、後述するように、必ずしも強い規制態様ではない。よって、厳格な基準で判断する必要はなく、目的が合理的であって、手段との間の合理的関連性があれば合憲となる。
(3)目的は、選挙の公平性の確保にあり(1条)、過去、乙県知事選時に虚偽のニュースが流布されたとの事実を併せれば、選挙の中立性を維持するため、上記目的は合理性を有する。
(4)手段として、確かに上限懲役6月の罰則規定はある(26条)。一方で、SNS事業者は、200万人以上と規定されており(法2条3号)、対象は社会的影響力ある者のみに限られている。そして、削除要件として1・2号が明白性の要件を定めており、選挙運動期間中及び選挙当日のみを規制するにすぎず、それ自体厳しく設定されている。また、規制委員会の設置についてもある程度の公平性が担保されている(45条以下)。以上からすれば、上記目的との間に合理的関連性が認められる。
 よって、上記各規定は憲法22条1項に反せず、合憲である。

2.行政手続法の適用除外を認めた法20条は、適正手続の原則(憲法31条)に反し、違憲ではないか。
 同条は、原則として刑事手続について定めたものであるが、行政手続にあっても、同条の趣旨が及びうる場合がある。もっとも、行政手続も様々であり、いかなる場合に聴聞等の機会を与えるべきかは、目的や処分の性質、緊急性等を総合して判断される。
 本件では、9条2項の削除命令は、選挙運動期間及び選挙当日に行われるものであるが、仮に、事業者に対し、逐一聴聞等の機会を与えていては、SNSにおいてはあっという間に情報が拡散されることは多々あるため、結局虚偽情報が蔓延し、上記目的を達成することができない。かかる緊急性を考慮すれば、行手法の規定の適用を除外した法20条も、憲法31条に反せず、違憲ではない。

3.法9条1項・2項は、SNS利用者に対する関係で、「検閲」(憲法21条2項)にも該当しうるのではないか。
 検閲とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その発表の禁止を目的として、網羅的一般的に、発表前に内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止する場合をいう。
 この点、本件では、虚偽表現は一度はSNS上に現れるものであり、発表それ自体がなされないわけではないから、上記定義に当たらない。ゆえに、検閲にも該当しない。

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