司法試験黙示録 @gouyokunakaze

3回目受験生。再現答案とか適当に書いてる。ツイッター→@gouyokunakaze

カテゴリ: 令和元年司法試験

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というわけで、成績が返ってきました。
事前予想との比較ですが、

(予想)
D A A A C D B 知財55点 
総合1000位

(結果)
B A A B A B A 知財57点
総合430

憲法   +2
会社法  ー1
民訴   +2
刑法   +2
刑訴   +1
知財   +2点

という誤差になりました。以下、各科目かる~くコメント。

【憲法】
22条でもBくんのかい!まあ出題趣旨が「事業者の自由」としてぼやかしていたこと、他の記述が悪くなかったということか。
【行政法】
憲法がBということは50点前後、そうすると、行政法は60点ちょっとくらいついているのかな。補充性でもう少し頑張れればもっと伸びたのだろう。
【民法】
会社法がBでこれまた50前後とすると、民訴と民法で130点ちょっと。が、自己利用文書書いてないこと考えると、民訴で突き抜けたとは思えん。そうすると、民法単体で75点とか取れている可能性もあり。
【会社法】
唯一の逆点予想。これはちょっと悔しい。反省。
【民訴】
自己利用文書落としてもAきたか。設問1で得点できたこと、設問2で出題趣旨に沿えていたことが功を奏したか。とはいっても、いいAではないだろうから、民法75・会社法50・民訴60くらいなのだろうか。
【刑法】
詐欺ルート(しかも2項詐欺に流した)、設問3で方法の錯誤、誤想防衛落としたがBがきた。設問2での踏ん張りと書き方で踏みとどまったのだろうか。
【刑訴】
これも刑法が50点ちょっとと考えると、60点ちょっと取れた計算。5chでは矛盾してるだの致命的だの叩かれたが、案外なんとかなったわけだ。あ、怒ってないよ?もう一度言う、怒ってないよ?
【知財】
だいたい予想どおりなので特記事項なし。
【順位について】
特に憲法と刑法で思った以上に点数がついたこと、A科目も思った以上に点数が高かったことにより、だいぶ予想から外れたが、嬉しい誤算ではある。なんかあれだな、法律文書としての体裁を保てるかってのはすごく重要なのかもしれない。

【設問1】
 管轄について。専属VS付加的合意という対立軸なのは言われていたとおり。Y側が専属的合意であるとする立論の根拠はたいして書かれていないので(11条とか出てない)、メインは付加的合意であるとの反論。具体例として挙がっているのは、

 「専属って書けたのに書いてないやん」ってのともう1個はよーわからん。まあ、この他複数考えられるとされているから、説得的に書けていればいいんでしょう。大事なことは何かかくこと、そして、書けるならなるべく書くこと、でしょう。問いとしては、「管轄合意の解釈のあり方を問うもの」とされているから、つまるところ契約の解釈という民法のそれに近い問題だったといえる。

 移送について。自庁処理という言葉は俺も後から聞いたから知らんかった。なるほど、A→Bって流してもまたB→Aって戻るから意味ないやんって理屈らしい。なお、17条類推適用があがっているが、16条2項を根拠としてあげることも認められているのね。
 が、求められるのは以上の論拠のもと、17条の要件の検討。「著しい遅滞」又は「当事者間の公平」が要件なので、これの当てはめ評価をすればよい。

【設問2】
 まず求められるのは自白の要件の検討。そして成立要件としてあげられたのは4つ。そして、深く検討が必要なのは「事実」と「不利益」の部分。
 「事実」については主要事実と間接事実のおなじみのやつ。ほとんどの人は主要事実限定説であろうが、もちろん間接事実を含めるパターンも否定はされていない。ゆえに、その後の撤回効の議論では、元の請求で自白成立していないが(間接)、追加請求では自白が成立する(主要)という正規ルートのみならず、元の請求でも追加請求でも自白が成立する(間接→主要だが間接事実も含める説を採ればいずれにせよ自白は成立することになる)というルートでもOK。
 「不利益」要件についても、証明責任説、敗訴可能性説、不要説いずれでもいいから当てはめが必要(不要説なんて初めて知ったわ)。
 難しい問題ではあったが、蓋を開けたら、ただただ自白の要件の当てはめをして、あとは不可撤回効のところで適当に不都合性を指摘するだけ。「ただただ」とは言ったが、これがなかなか難しいんだよねえ。これは民訴というより民法だし。だから、設問2ができずに評価悪かった受験生も、「自分は民訴ができない」と短絡的に考えるのではなく、「民法、ひいては要件事実ができない」と考えましょう。逆に言えば、要件事実の勉強は民法民訴ダブルで点数が取れる可能性をあげる最高の勉強素材。

【設問3】
 出題趣旨では思った以上に、自己利用文書に紙面が割かれていたのが意外。特に真新しい記述こそないが。俺は書けなかったしムカつくからこれで終わり。

【来年度以降に向けて】
 設問2でも書いたが、今年の民訴できなかったとしても「民訴ができない」と思う必要はない。マイナー分野からの出題、そして自白は要件事実の問題にすぎず、典型的な弁論主義、処分権主義、既判力に加え、訴えの利益や複雑訴訟等のザ・民訴問題が出てないんだもん。
 ザ・民訴問題で力つけたいなら平成29・30年の問題をやるべき。よっぽどド典型。そっちができなかったときは、「民訴できない」と思った方が良い。もちろん、完璧である必要はないけどね。

 注意すべきなのは、民訴でも他の科目同様、当てはめ評価が必要ということ。抽象論厚くて当てはめ薄いって人はけっこう多い、俺もそうだった。でもそれは違うから気をつけて。あとは要件事実やろうぜって感じかな。
 債権譲渡の要件事実は?って聞かれて答えられる人いますか?わいは、譲受債権の発生原因事実と譲渡人からの取得原因事実ですって答えられるで。1回目のときは、「え、え、X所有とわ、Y占有です…」しか言えんかったわ。頑張ってくだせえ!!

成績表は多分火曜日だと思いますのでしばしお待ちを。おしまい。

【設問1】
説明と比較について。
まず、説明については、297条・303条・305条くらいが挙げられているだけ。まあここらは再現ブロガーもみんな同じ感じですね。
比較については、例えば、以下の3点への言及が期待される

①自ら招集する場合には、意向が反映されやすい

②自ら招集する場合は、その分費用も自分持ちになる

③自ら招集する場合は、総会を待たないで済む

せっかくなので、再現ブロガー見直してみた。

ムキムキ兄やんさん→いずれも言及なし
司法の犬さん→①につきイニシアチブという表現で言及あり
氏名黙秘さん→いずれも言及なし
ついたてさん→費用の点を論じており、上記②に該当
ほいやーさん→総会時期という意味では③に近いが、持株要件の話になっているのが残念
しゃちほこさん→いずれも言及なし
黙示録こと俺→いずれも言及なし

というわけで、設問1について出題趣旨に完璧に沿ったものはなし。一部捉えたのが、司法の犬さんとついたてさんということになりました。

【設問2】
まずは、247条類推適用の可否。ここは特に特筆すべき事項はなし。

次に、差止事由だが、法令違反又は不公正発行とされており、どっちのルートでも点数が入るようになっている。
あとは、適宜事実が拾われているわけだが、結局のところ、民法同様、法律論は複数の正解筋が用意されていて、その先の当てはめ評価が大切であるということでしょう。その他はたいした記載なし。

【設問3】
定款の効力について、てっきり重版の平成29年判決が引用されるかと思いきやなし。条文も明示されたのは362条ではなく295条。思ってた感じと違うなあ、と。
 任務懈怠については、安易に経営判断原則に流すことへの注意喚起がある。俺はやってしまったがな。


うーん、なんか会社法はずいぶんあっさりというか。手抜きにも見えてしまうというか、よく考えたら問題自体もだいぶいい加減なような気もする。平成27年とかすごく良かったのに。ちょっと勉強方法いついて書こうとも思ったけど、先が読めなくなってきたからやめる。俺も手抜いてんじゃねえか!

おしまい。

民法の出題趣旨パット見、長い。やるのめんどくさいけど一応書いたる。

【設問1】
(1)について
「所有権の帰属は…典型論点である。」
みなさん?典型論点ですよ???もう一度いいます。典型論点ですよ???

「前提として、建物は土地とは別個の独立した所有権の客体であることを確認する必要がある。」
当たり前すぎて書かんわ!!!どこの国の話やねんとツッコミたくなるが、配点あるのかよw


「合意があれば、契約自由の原則により、合意に従って決定される。合意なければ、請負人帰属説と注文者帰属説があり、これについて論じる必要がある。」
契約の解釈がまずはファーストステップであるということの確認。まあ、そりゃそうだわな。

後者について、まず請負人帰属説からの見解の説明がされている。
 理由付けだが、「物権法の原則により、材料の所有権が積み上げられて完成される」とのこと。俺含め再現答案は請負報酬債権の確保がほとんどだったな。ってか物権法の原則ってなんやねん。知らんがな。
 その上で、原則は請負人、例外で注文者という規範を示すことになる。そして、この例外については、さらに材料の実質パターンと黙字の合意パターンに区別されており、かなり詳細に書かれているのも驚き。まあ、ここは知っているかどうかじゃなくて現場思考型かな。

 次に、注文者帰属説についてはかなりあっさりめの記載。判例の請負人帰属説を示し、これを批判して、規範立てするというもの。俺の答案はこれだが、再現答案でもなかったし、少数派の答案でしょう。

つまり、考え方をまとめると
①契約解釈のみで書ききる方法(両説については触れなくてもOK)
②契約解釈を否定→請負人帰属説(材料の実質に根拠を求めるパターン)
③契約解釈を否定→請負人帰属説(黙字の合意に求めるパターン)←再現はこれが多かった
④契約解釈を否定→注文者帰属説(請負人帰属説の批判が必要)←俺

と4つのパターンがあることがわかる。さて、皆さんはどれで書いたのでしょう。いずれにせよ、契約を無視してスタートするのはアカンということ。これは民訴の管轄の問題も同じ。おそらく設問1の出題意図は、「典型論点について、きちんと契約の解釈からスタートして論証するお作法を身に着けてくださいね」という点にあるのでしょう。

(2)について
 端的に土地工作物責任の要件検討さえすればよかったようで。隠れた論点みたいなものは特にないっぽいね。要件を順に書くと、
 ア 「工作物」→さらっと認定
 イ 「瑕疵」→通常有すべき安全性欠如をしっかり評価すること
 ウ 「損害・因果関係」→まあさらっと
 エ 「占有者」→争いないからさらっと
 オ 「必要な注意」→メイン論点。通常尽くすべき注意という下位規範がほしい

まあこんなとこです。再現見ていて思ったけど、瑕疵のところで、震度5って書くべきでしたね、俺もちゃんと書いてないけど。震度5で壊れるから問題なのであって、震度7とか8で壊れたならば瑕疵といえるか微妙なとこだからねえ。細かいけどこういうところの意識も大切なのかも。
ただ、この設問の出題意図は若干謎だな。取って付けたような感じ。平成28年の行政法設問4とかもそうだけど。しいて言えば、「要件を1つ1つ丁寧に検討してくださいね」というメッセージか。

【設問2】
 聞きたかったことは、「将来賃料債権譲渡の効力はその承継後の賃貸借から生ずる賃料債権に及ぶか」とのこと。知らんがな(2度目)。受験生に聞かないで学者に聞いてくれよと言いたいところだが、試験なので仕方がない。
 平成10年3月24日の判例が関連判例としてあげられている。知らんがな(3度目)。もし試験中に想起できた人いたらコメントくれな。

 まず、Hの主張は、賃貸人たる地位の移転。これはいい。が、合意承継と法定承継があり…」とか書いてある。知らんがな(4度目)。前者なら、「賃借人の同意が不要な理由を示すことが望ましい」とのことなので、俺は合意承継なるものを書いていたらしい。

 次に、Fの主張は将来債権譲渡。有効性の話(特定論)と対抗要件を両方明示することが求められていたようで。まあここは特に驚きもないな、と。ってかあれか、将来債権譲渡は、普通の債権譲渡とは違うから、467条2項の適用があるのかってのは一応論点としてあるのね。まあ書いてもさらっとでしょうが。

 そして、いずれが正当かという難問。
 Hとしては、
「債権なんだから、D→Fへの譲渡のうち、Hの分には及ばないはずや」
「将来のことなんてわからんのやからそFはそこまで想定して我慢せい」
「FとD間の問題や、Hを巻き込まへんでくれや

とまあこんなことを言えばいいらしい。知らんがな(5度目)。
一方、Fからは、
「Hは賃貸人の地位あるんやろ、だったらその賃料にも効力及ぶはずやろがい」
「Hは調査すりゃわかったはずやろ。ってか知っとったやんけ」
「Hの考えじゃ、将来債権譲渡がほとんど無意味になるやん」

とこんなことを主張するとのこと。まあ、なんというか、どっちも屁理屈にしか聞こえなくもないのだが…法律の世界ってそんなもんなのかもね。
 そうすると、再現ブロガーはほとんどが対抗要件処理だったので、題意には沿っていないことになる。氏名黙秘さんは、期待権と利益考量の問題として具体的に検討されてたのでさすがの一言。お見事です。

 出題意図は、「賃貸人たる地位の移転と将来債権譲渡という基本論点から派生した現場思考型の応用力を身に着けてくださいね」という点にあるのだろう。

【設問3】
まず、本問には2パターンの動機の錯誤があり、どちらでもOKということ。多くの受験生が考えたのは、「賃料収入得られると思ったから契約したのにダメやんけ!」というパターンで、俺もそう。これに対し、「代物弁済」を動機とみる処理もあったということらしいが、やや迂遠な気もする。
 出題趣旨では、錯誤論のお作法が記載されている。
 ①動機の錯誤についての規範(表示+法律行為が判例だが、表示のみでもOK)
 ②重要性
 ③重過失の検討

 ③について注意が必要なのは、たかだか一取引会社の社員が、判例も定まった説もない設問2について、知らなかったことから直ちに重過失ありとすることはアカンということ。まあこれはそのとおりだとは思う。価値判断は人それぞれだが、あまりにも常識からズレたことを書くのはダメですね。重過失否定ルートもしくは共通錯誤ルートでの処理がいいのでしょう。
 出題意図は、「丁寧に要件を検討してくださいね。」だと工作物責任と同じだから2つも出題する意味がない。とすると、工作物責任との違いは、価値判断が人によって大きく分かれること(特に重過失)。よって、「丁寧に要件を検討する際、自己の考えを法的評価として表してくださいね」といったところか。個人的には、錯誤の近時の判例のお作法(表示+法律行為)のチェックも入っていたと思ったのだが、表示のみでもいいとのことなので。

以上見てきたわけだが、今年の試験はいろんなルートが期待された試験と言えるでしょう。

・所有権の帰属で4パターン
・設問2でどちらを正当と判断するかという意味で2パターン
・錯誤論ではどの規範を使うか(2パターン)、そして、重過失の肯否でも2パターンで計4パターン
もっと細かく分けることもできるが、ざっと分けただけで、4×2×4=32パターンある。

 採点者は大変やな。まあ、それは仕事だから頑張ってくださいとしか言いようがないが。

 今後の学習、もちろんまずは改正法だよね、俺もやらなきゃ。あとは、こういう問題が続くとなると、常に反対の立場からも考える学習はアリなのかもね。説がどうのこうのじゃなくてさ、事実を肯定否定どちらからも評価できるように。9割の人間が瑕疵ありと判断するような事案で、どうやって瑕疵はないというのか。平たく言えば、屁理屈だよね。だから別に書いたりする必要はないんだろうけど、そうやって考える力を養うことは大切なのかもしれない。例えば、上の工作物責任の問題ならさ、

”震度5は決して低いものではなく、家屋の損傷・倒壊等の危険は十分に内在している。従って、かかる地震によって本件建物が損傷したとしても、これをもって通常有すべき安全性を欠いていたと評価することはできない”

みたいな感じ?今、適当に考えた。こういう訓練は、どの科目にも通ずるから、ゼミのときなんかにやってみるのもいいかもね、休憩がてらさ。

今日、成績表が郵送されているはず。明日か週明けか。わかったらまた報告します。ってか他のブロガーの予想含め外しまくっても叩かないでねwww

さて、行政法について見ていきましょうか。

土地収用手続きの過程を理解して検討することが求められる。

ここは、まあ当たり前ですが。ちゃんと個別法読めよという意味くらいで答案に直接反映するものではない。

【違法性の承継について】
平成21年判決の記載あり、まあみんな知ってるでしょうここは。知らなかった、あるいはその判断枠組みを忘れていたという人は反省しろ!!ボーッといきてんじゃねえよ!!!まあ、俺なら「じゃあ来年はさすがに出えへんやろ」って言ってやらない可能性もあるがな。

さて、書くべき内容は、2つの手続きの段階性、目的の共通性、土地所有者らに対する様々な法の整備とこと。前者は、目的効果の共通性というところでしょう、ここは再現答案でもみな同じような感じだったな。

一方、後者の点は、いわゆる手続き保障の観点でしょうが、ここは再現答案でもわりとバラバラに論じられていた印象。「様々な」「法整備」という文言からして、個別法にある複数の手続きを論じることが期待されていたのだろう。そうすると、再現答案でそういう書き方をしていたのは確か俺くらいだったような気がする。そうすると、成績表に期待しちゃうぞ、僕は。

【補充性について】
 まず、訴訟選択について。争点訴訟として、土地所有権確認と移転登記抹消登記手続き請求があげられている。そして、出題趣旨には、争点訴訟”等”とは書いておらず、実質的当事者訴訟等の文字はない。すると、5chでは一部当事者訴訟でもええやんという指摘もあったが、そうではないのかもしれない。まあ、俺も登記うんぬんは書けなかったが。
 そして、理由付けとしては、拘束力や第三者効”等”の文言があるから、正解筋ではないだろうが、それ以外の書き方でも多少点数は入るのかもしれない
 採点実感では、ボロクソに言われる未来が見える。

【裁量について】
 特筆すべき点はなし。裁量の有無から始まり、きちんと本問の3点の具体的事実を使い切れたかどうかでしょう。

 補充性を除けば、真新しい記述はなかったな、大方の予想どおり。

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