司法試験黙示録 @gouyokunakaze

3回目受験生。再現答案とか適当に書いてる。ツイッター→@gouyokunakaze

カテゴリ: 平成30年司法試験敗因分析

【民法】・・・F評価(TKC模試・・・C評価)

 事前予測ではE評価。ああ、Fってしまったか。タラレバを言えば、「もし今年民法ができていたら…」。そんな気持ち。

 元々民法に対してはとってもとっても苦手意識がある。これを裏付けるように去年の民法もF。そして短答も2年続けて民法が悪い。誰の目にも明らかなレベルで基本ができていない証拠である。

 他と比べて、最も暗記だけでどうにもならない科目な気がする。1年目の反省から旧試を解いたりしたが、かえって論点主義的な答案になってしまった。

 予備試験はともかく、論点主義っぽい書き方が司法試験では通用しないのは百も承知。それでもそういう答案になってしまうのは民法的な思考力が欠如しているから。請求から考え、要件事実的(少なくとも当事者の主張反論的)な発想で記述していくのが望ましいというのも多方面から聞く。わかっている。が、書けないのである。それはもう、とどのつまり、民法の基本ができていないからであろう。
 
 とまあ、ダラダラと言い訳をしたところで、ざっと答案構成について。くそしょうもない構成を書いても芸がないので、当日の内心を赤裸々に語りながら記載してみる。僕と同様、民法できない人間はこういう発想をしてるんじゃないかなあ。。。(仲間意識)

設問1
 「(問題文を読んで)ほう、特定の話か。取立債務だし分離と通知の話はまず書けるぞ、うんうん。」
 「お、盗まれてしまったのか・・・これは危険負担ね、ふむふむ。危険負担苦手なんだよなあ・・・しかしなんだか問題集っぽい感じ・・・(ってか債権法改正で危険負担出すとかやめろ、こら。)」
 「あ、534条って「特定物」が要件だからな、特定の議論とリンクするな、うんうん。」
 「従業員のミスね・・・これはあれか、履行補助者の話やな」
 *受領遅滞は気づきませんでした

 「よし、じゃあ早速当事者目線で・・・ん?どうやって書くんだ、これ。いや、確か危険負担を要件事実で書くのはむずいって友達(今年の合格者である)も言ってたな。よし、諦めて主張反論だな。」

 「あれ、特定うんぬんってどっちが言うんだ???わからん。とりあえず種類物だけど特定されてないか〜って感じで書いとけば点くれるやろ」
 「で、本件ではこれが滅失している・・・と」
 「危険負担・・・これはBが言えばええから帰責性の要件の解釈として書けばいいな。ええと、Bはちゃんと鍵かけたりしてたし、「債務者の責めに帰することができない」の要件を満たすことをBは主張する、と」
 *534条2項なのに、1項書いてしまったというミスもある
 「これに対して、Aが『Cの責任はお前の責任やろ!』ってな感じて履行補助者書けばOKね。」
 「はい、以上からBの請求は認められない、と。」

ーーというように、いかにも不合格答案感ある論点主義的書き方となってしまった。特定の効果→善管注意義務発生ということはもちろん知っていたが、それをどう落とし込めばいいかがわからなかった。だから、逃げた。書けないから。
 
 また、受領遅滞による善管注意義務の軽減というのは自分のノートに記載はあったものの、そういう具体的事例の検討を問題集等でしたことがなかったためか、脳裏によぎることすらなかった。だからこそ受領遅滞に気づかなかった、いや、気づいていないふりをしたのかもしれない。問題文の事実から逃げるという圧倒的失策である。

設問2(1)
 ・・・判例知りませんでした、はい。契約の解釈から考えるというようなことを書いて、契約内容をつらつら書いただけという感じ。出題趣旨がいうような「法的構成」という点への言及がほとんどない(書いた内容も実はあまり思い出せん)。

 というわけで(2)。
 「あ、これは短答でもよく出てくる判例だ。あれは不動産パターンで、今回は車ね〜。まあ、車バージョンに変えても、個別法もおんなじような内容だしたいして変わらんやろ。」
 ってな感じであっさり書いたものの、そもそもの不動産パターンの理由付けがちゃんと思い出せない(おまえ短答も答え覚えてるだけやろ、と言われたらぐうの音も出ない)。

 「普通誰を被告とするか原告が考えるとき、登記簿見るでしょ。なのに被告として認めなかったら原告かわいそやろ。車も登録見るやろしおんなじ!!」的なことを書いた(とにかく早く設問3にいきたかった)。

設問3
 「お、現場思考かな?相続させる旨の遺言かあ〜こんな問題まで出すんか。」
 「なになに、まずは遺言を解釈しろ、と。ええ、これは相続させる旨の遺言ですよ〜遺産分割方法の指定ですよ〜」
 「ん?Cは廃除?ああ、ドラ息子か。しょうもな。あ、でもなんか許されてる感じもあるやん。」
 ここで、またまた民法できない人間発動。「遺贈」が出てこない。そして安定の条文軽視、廃除の条文を拾おうとすらしない。結局、Cについても許されてるし相続させる旨の遺言でいいや、というクソっぷり(言い訳をすれば、時間がなく早く債務うんぬんの話したかったってのもあったような気も)。

 「とりあえず遺言の解釈終わり。よし、次は債務うんぬんね。問題意識としては、法定相続分or指定相続分どっちでいくべきかってことだと思うんだ。あれ、確か判例あったよな・・・うわあ、原則例外どっちだっけ・・・時間もないし困ったな・・・よし、とりあえずその意識だけでも伝わるように2パターン紹介したろ(ここで三段論法が崩れる)」
 「はい、まずは法定相続分でいくパターンありまーす。これだとA・B・Cそれぞれ…円!」
 「次に、指定相続分パターンありまーす。これだと(以下略)」
 「今回は、感謝の気持ちとかいろいろ書いてまーす!しかも債務とか借金とか一切書いてませーん。ってことは、債務は指定してないと思いまーす」
  以上より、法定相続分に従って計算!よって、…円について不当利得返還請求!以上!!

とまあ、憲法・行政法に比べてだいぶ長くなってしまった。「おまえ・・・そりゃFやぞ・・・」と思われた方、いい相場観してる!もっとも、書き方次第ではFから脱出してEにはいけたりしたのかねえ(説1は特に)。

 Fったがゆえに今年やるべきことはだいぶはっきりしてきて、一に民法、二に民法(これから他の科目も書くが先出しすると民法以外にFはない)。まずは短答。そして要件事実を軸とした要件・効果の学習。その際の条文意識。もちろん過去問その他の演習と通して。多分、会社法だったら条文引こうって思えたはず。その意識が民法では欠けてたんだなあ、と(行訴法10条1項引かなかったのも同じだけど)。

 以上。次は、会社法書く。

【憲法】・・・D評価(TKC模試・・・A評価)

 事前の予想ではF。理由は簡単、21条書いてないから。とても司法試験受験生とは思えない致命的なミス。恥ずかしいのレベルを通り越している。おおまかな構成は以下のとおり。

 まず、問題文前半の罰則規定で31条は問題になると考える。「みんな対して書けないやろ、とりあえず過度広範とかあっさり書いとこ。」くらいで書く。←出題趣旨に3行くらい記載あったので答案戦略としては悪くなかったっぽい。
 
 次に、買い手側について。「ああ、有害図書規制ね。確か百選番号は50〜60番代。なら21条書きゃええな。」と考える。だがここで「知る自由」という超基本が頭に浮かばない。パニクる。21条で構成できず何を思ったか19条で構成(どう考えても間違っていると思いながら書くのは相当に辛い。そして、お察しの通り内容はひどい)。それでも問題文の指示には従おうと18歳未満との区別としてパターナリズム等は書く。また、年齢による差別ということで14条も薄くではあるが記載。

 一方、売り手側は無難に22条で処理。販売側3種類について区別して書く。22条については薬事法を元にした型があったため、ちゃんと書けているかは別として極端に沈むような書き方ではないはず。

 以上がおおよその答案の流れ。まあ、ひどい。21条書いていないのはもちろん、判例への言及、反論という問いを完全に無視している(21条使わない時点で判例言及うんぬんもないのだが)。自分が採点委員なら「この問題で21条書かないの?超基本だよ?本当に短答通ってる?」と思いながら採点するのだろう。そういう意味では採点前半の印象は相当に悪いはず。

 それでもFにならなかったのは、法律家としてどういうアドバイスをするか?という点と、5つの場合分けという問いにはかろうじて答えようとしたところが見えたからなのかなあ。例えば、売り手側について、「以上から〜を規制した法◯◯条は違憲となりうるおそれがある。」と書いたあとに、「〜の文言を削除するのが望ましい」といったことを書いた記憶がある。点数が入ったかはわからないが、「条例制定前の法律家としての助言」という意味では悪くない指摘なんじゃないかな〜と思ってみたり。
 他にも出題形式変更による全体的な答案レベルの低下→相対的にはマシになったってのはあるんだろうねえ。

【行政法】・・・B評価(TKC模試・・・B評価)

 事前予想はB。相場観は悪くないなあと。他科目に比べれば苦手意識がそんなにないのが行政法(沈まないという意味であって上位答案を書くスキルはない)。

  そして、答案構成・・・が、思い出せねえ!!というのも、行政法は答案の型でゴリ押し作戦なので、原告適格、裁量いずれもいつものパターンで書いてはい、終わりって感じ。内容はペラッペラ。ちなみに去年の本試験も同じような手法でA評価でした(事務処理ゲーと言われてたしね)。やっぱり行政法は受験生のレベルが高くないってのは本当なのかねえ。。。以下、ざらっと。

 設問1(1)は原告適格。元々書き方は得意という認識。ただ今回は、反論を指摘してという指示から「いつもの型使えねえじゃん!!」と困惑。それでも書き方崩すのは怖かったので、いつもどおりの書き方でゴリ押すことにする。それでも誘導ガン無視はまずいと思い、当てはめする前に、D・Eについてそれぞれさらっとだけ反論書く(ただし、中身はない)。

 設問1(2)、まず裁量。これもいつもどおりのお決まりパターンで書く。他にいうことはない。一方、主張制限について行訴法10条1項を引かないというミス。いや、ミスというより10条1項を知らなかった。普通はまず条文探すんだろうけど、未知の論点かなにかと思ってこれを怠る。それでも、事情はすべて拾って作文はしておく。

 設問2はこれまた裁量。特に言うことなし。

 出題趣旨も見たけど、真新しい記述はなし。個別法の解釈というのが行政法で求められるようだけど、凡人の私には到底難しい。行政法ガールとか読んでみたけど自分にはこのレベルは書けないと感じた。

  最低限の論証したら、あとは個別法引きまくって事情拾って当てはめというゴリ押し作戦は、沈まないようにするという戦略的には悪くなかったかな、と。少なくとも指摘した条文は出題趣旨に沿っていたので、沈まず済んだのかなあ・・・。

 ただ、上位答案との比較はしてみたいと思う。機会があればまた綴りたい。

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