知財につき、過去の試験結果から読み解く憲法の相場観について。

といっても、知財のように1年目と2年目で大きく結果が変わったわけではなく、むしろまったく同じ評価なのであまりたいした話ができない。そこで、友人談も交えながら書いてみる。

というわけで、1回目も2回目も全く同じD評価。つまり、三段論法とか一応の形式できてるから内容カスだけどDにしてやるか、くらいの答案。もともと、憲法起案ではいい評価取れたこともないし、コスパ論から勉強時間も多くは割いていない。ゆえに、妥当といえば妥当なのだが。あ、2年目のTKC模試はAだったな、そのくらいか。

1回目について。これはつまり平成29年の問題というわけだが、過去問演習していることはご存知のとおり、外国人の妊娠出産の禁止についてだったんだよね。で、わりと誘導があって、13条という広い意味での権利選択とか、31条で書いてほしいあたりは外さなかった。もちろん、外国人の人権享有主体性も拾った。審査基準の理由付けも、妊娠出産がどういうものなのか、かなり具体的に書いた。正直、B〜Aくるんちゃうかと思ってたのだが、蓋を開ければD評価。なぜか。

 書けてない内容を考えると納得もいく。まずマクリーンについてだが、「権利の性質上うんぬん」は書いた。が、そのあとの部分の「…斟酌されない自由までを…」のくだりの意識がなかった。ゆえに、マクリーンっぽい雰囲気はあったが、ちゃんとは書けていなかった。

 他にも、憲法31条違反の点について、川崎民商を書けてなかった。何書いたかは忘れたが・・・。いずれにせよ、マクリーン、川崎民商という基本判例を示せてはいなかったというミスがあった。

 他に考えられるとしたら、憲法上の評価ってやつだろうか。未だにわからんが。評価してるつもりでも、傍からみたらできてないのかもしれない。

 憲法でぶっちぎりのAを取った友人がいる。再現も見たけど、正直なぜあれがぶっちぎりAかはわからんって感想だった。周りもそう言ってた。でも確かに拾うべき論点はしっかり拾ってた。評価は特別すごいこと書いてるという感覚はなかったな。分量も普通。これで余計に憲法がわからなくなってしまった。


んで、2回目。またもやD。でも、こっちは理由がわかってる。平成30年はご存知、憲法の形式変更の年。そして、出題されたのは21条論、22条論の2本柱。前者は文面審査もあったかな。

 やらかしたのはなにかというと、権利選択。青少年保護条例っていえば21条なんだが、知る権利という言葉が頭に全く浮かばないという失態!圧倒的失態っ・・・!!結果、19条構成という致命的ミスをやらかした。文面審査もしたし、22条も無難な処理はできた。ワンちゃん権利選択ミスっても高評価くるかという淡い期待と、一発Fなんじゃねという恐怖に怯えた夏を過ごしたわけだが、結局Dでした。22条の方で少しは持ちこたえた、ということなんだろうか。19条のほうはほとんど点が入っていないのかもねえ。

 ちなみに友人3人がAを取っていたが、文面審査は落としてた。それでも、21条外すなんてことはなかったね。いずれも判例の意識ってのはあまり感じられなかったが、Aはきてた。一人は評価はかなり意識したとは言ってたな。

 さて、これらから俺が感じた相場観について。

 まず一回目に友人のAと自分のDとを比べると、判例を意識したうえで、広く憲法上の論点を拾えているかという点で大きな差異があったのが事実。基準の理由付けはなんなら俺のほうが細かかったし、いわゆる憲法上の評価も普通な感じだった。そこで感じたのは、「判例きちんと書くことと論点を広く触れることが大事なんだな!!」ということ。これが1回目受験のあとの気持ち。


 そして、2回目。俺は権利選択ミスってるからそりゃどうしようもない。そしてAの三人は文面審査は落としてるけど権利選択はミスってない。そして、うち一人は評価への意識。ただ、いずれも判例への意識はさほどなし。そこで感じたのは、「権利選択をミスらず、評価がきちんとできていれば判例書かなくてもAくるんや」ということ。これが2回目受験後。

 まとめると、まず要素としては、①権利選択、②憲法上の論点、③憲法上の評価、④判例言及があるように思える。まず、①を外すと一気に下にいく。でもそれは確かにそうで、①を見誤るということは、②を見誤ったことになり、結果、④にも触れられないことになる。できるのはせいぜい、③くらい。だから、配点に乗らないってのも納得がいく。
 そして、1回目ぶっちぎりA君は、①OK、②OK、③普通、④OK。これでぶっちぎった。一方、2回目A三人組のうち一人は、①OK、②OK、③good、④△。これでA。

 つまり、4つの要素のうち、3つクリアするとAくるっぽいな。全部クリアするとぶっちぎる。こう考えると判例で書くということは、1つの要素であって、Aを取るなら必須ではないが、ぶっちぎるなら必要ということになる。そして、要素のうち2つならC〜Bなんだろうか。例えば、①と②できてるけど、評価いまいち、判例言及なし、みたいな。3つ外すとE〜D、全部外すとF。以下、当てはめてみる。

 1回目は①はクリアした。が、②に気づかず、あるいは厚く書けず、③も普通かそれ以下、そして④もできていないから、結果、①と③が点カスッた程度に過ぎず、D。
 2回目はまさに上の通りで、①をミスった結果、②④書けず、③が普通。ただ、22条論で持ちこたえてD。

 そうすると、3回目の今年はどうか。まず、前半の21条論は、①はOK、②は特に保護範囲論がメイン論点に思える。それなりに厚くは書けたと思う。③はあんまりできなかった。④は、挙げた判例がどうかって感じ。総じて、ギリ持ちこたえるくらいか。
 一方、後半は22条で処理してしまった。つまり、去年と同じ轍を踏んだわけだ。結果、①権利選択をミスり、②④もダメでしょう。
 となると、去年同様、D評価あたりとみている。これは憲法の感想でも述べたが。

 自分の答案がどの程度の評価になるのか。今一度、4つの要素から再考してみては???