司法試験黙示録 @gouyokunakaze

3回目受験生。再現答案とか適当に書いてる。ツイッター→@gouyokunakaze

2019年09月

 最近、巷で話題になっているコレクチャhttps://correctcha.com)。Twitter界隈ではご存じの方も多いだろうが、このコレクチャが今後の司法試験受験の在り方を変えうるのではないかと思い、以下、つづる。ちなみに、中の人は現役の司法試験受験生っていうんだから、すごいよね。

【概要】
 コレクチャというのは、簡単にいえば、司法試験受験生と合格者との間の、いわば添削マッチングツールである。合格者は、自己が添削できる内容を過去問(予備試験も可能)や各種演習書、あるいは科目別に絞ったりすることで、添削の募集をかける。一方、受験生は、合格者の中から自分の希望する添削者を主体的に選ぶこともできるし、自ら全体に募集をかけることもできる。つまり、双方がイニシアティブを取れるというのが魅力の一つでもある。

【費用】
登録は無料。添削者は、一定の手数料は運営に入るものの、受験生から添削料を受け取ることができその価格設定も各自が行える(添削料の交渉は非公開で行うことも可能になったみたい)。

 もっとも、その適正相場はいまだ不明。予備校の添削って、例えば3月のTKC模試なんかは4万円くらいするし、辰巳だと+1万くらいするよね。もちろんそこには添削料だけでなく、問題作成の人件費、短答試験も合わさっているわけだが、だいたい1科目あたり4~5000円くらい取られているイメージなのかな。そうだとすると、「ノウハウの蓄積ある予備校採点の方が高いのは当然である」という考え方に立つのであれば、これより安い価格設定となるのだろう。受験生側もコスパを求めるだろうしね。もちろん、合格者の実力や指導能力によっての上下があるだろうけども。
 逆に、添削者側からしても、時給換算で1000円を割るようならやらないっていう人もいるだろう。1通添削するのに2時間かかるなら、2000円取ったとして時給1000円。1時間できるなら時給は2000円ということになる。俺も今年の添削とかしているが、自分が受けただけに1科目2時間かかるようなことはないが、過去問となれば、いろいろ見直したりするし、もう少し時間はかかる。
 そうすると、3000円前後がお互いの妥協点になるのかなあ。まあ、合格者側はいかに付加価値つけるかだよね、例えば、架空の採点表みたいなのも付けるとかさ。書き直しの再添削は無料とか(ほら、美容院とかでも5日以内なら不満あれば対応するとかあるじゃん?)。まあ、ここら辺は各々のビジネススキルよね。

ちなみに、2019/9/29(19:30)現在、発見できた価格設定は二つ。

一つは、トモシビさんという方。
予備試験過去問 1通30分5000円
司法試験過去問 1通1時間10000円


本人も割高とうたっているが、添削経験があることと、添削は通話にて口頭で行うという点で付加価値を付けられているのだろう。また、予備過去問25年・27年の初回無料サービスもあり。

もう一つは、お米ちゃんという方。
令和元年司法試験憲法 1通2000円

とりあえずは憲法でスタートし、人数も6人までと設定。答案の締め切り日や添削返却日の記載もあり。

なるほど、お二方ともこれだけ違いがあり、おもしろい。自分はどういう風にいこうかと思い悩む楽しさもある。受験生からはどういうスタイルが「ウケがいい」のか。黎明期だし、いろいろ方策を講じるのもありだよね。今思いついたんだけど、少数精鋭のオンラインゼミみたいなこともできそうだよね、きっと。月2回、スカイプで~円とかさ。意志弱い人にはそういう専属講師がつくのはアリだったりするかもね。ほんと広がるなあ。

【その他】
掲載された再現答案は、ダウンロード可能。俺のも載せている。これまでは優秀答案といえば、辰巳のものが定番だったが、無料で手軽にゲットできるようになったことは、このような予備校業界をも巻き込むことになる。
ランキング機能もあり、人気講師かどうか、競争も促されるのだろう。

【気になった点】
 とりあえず片っ端から登録者をフォローしてみたのだが、何人フォローしているのか数字が出てこなかったので、ここはフォロー・フォロワーともに数字が出るようになるといいかな。
また、一見して「添削者」側なのか、「受験生」側なのかがわからないため、ここも登録時に登録情報としてあるといいのかもしれない。

 今後、また変化があれば、随時つづっていくつもり。

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というわけで、成績が返ってきました。
事前予想との比較ですが、

(予想)
D A A A C D B 知財55点 
総合1000位

(結果)
B A A B A B A 知財57点
総合430

憲法   +2
会社法  ー1
民訴   +2
刑法   +2
刑訴   +1
知財   +2点

という誤差になりました。以下、各科目かる~くコメント。

【憲法】
22条でもBくんのかい!まあ出題趣旨が「事業者の自由」としてぼやかしていたこと、他の記述が悪くなかったということか。
【行政法】
憲法がBということは50点前後、そうすると、行政法は60点ちょっとくらいついているのかな。補充性でもう少し頑張れればもっと伸びたのだろう。
【民法】
会社法がBでこれまた50前後とすると、民訴と民法で130点ちょっと。が、自己利用文書書いてないこと考えると、民訴で突き抜けたとは思えん。そうすると、民法単体で75点とか取れている可能性もあり。
【会社法】
唯一の逆点予想。これはちょっと悔しい。反省。
【民訴】
自己利用文書落としてもAきたか。設問1で得点できたこと、設問2で出題趣旨に沿えていたことが功を奏したか。とはいっても、いいAではないだろうから、民法75・会社法50・民訴60くらいなのだろうか。
【刑法】
詐欺ルート(しかも2項詐欺に流した)、設問3で方法の錯誤、誤想防衛落としたがBがきた。設問2での踏ん張りと書き方で踏みとどまったのだろうか。
【刑訴】
これも刑法が50点ちょっとと考えると、60点ちょっと取れた計算。5chでは矛盾してるだの致命的だの叩かれたが、案外なんとかなったわけだ。あ、怒ってないよ?もう一度言う、怒ってないよ?
【知財】
だいたい予想どおりなので特記事項なし。
【順位について】
特に憲法と刑法で思った以上に点数がついたこと、A科目も思った以上に点数が高かったことにより、だいぶ予想から外れたが、嬉しい誤算ではある。なんかあれだな、法律文書としての体裁を保てるかってのはすごく重要なのかもしれない。

まだ刑法と刑訴の出題趣旨(知財もか)書いてないけど、ツイッター見てたらトークテーマ見つけたのでちょこっと書いてみる。んふっ

自己添削というわけだが、俺もやってたなあと思ってね。人に見てもらうのは確かに大切なのだが、まずは自分で自分の赤ペン先生になることをオススメする。あはーん

ただ、これは最低限の書き方が身についている人の話ね。初学者とか、書き方が定まってない人、三段論法ができていない時点でこれやってもダメ。法律文書としての体裁が固まっていない人は、ただの自己満で終わっちゃうからオススメしないどころかむしろ危険。いやーん

そういう意味では、自己添削については、適格ある人とない人がいるのだろう。ここは要注意。

さて、俺がどうやってやってたかというと、別にたいしたことはしてない。普通のこと。うっふーん

①起案する
②出題趣旨・採点実感をチェックしてまずは大まかな論点外しがないかチェック
→外しがあれば、なぜ外したのかの原因を探る。知識不足なのか誘導を誘導と捉えられなかったのか等。そのうえで、どうすれば書けたのかを考える。ああ、この問題集やっとりゃ出てるじゃん、とかね。

③外してはいなかった場合、論証や当てはめそれぞれをチェック
→いずれも趣旨・実感がそのまま答えになっているときもあるし、そうでなければ優秀答案見ればいい。そして論証の理由付けはOKか、摘示した事実に過不足はないか、評価は適切かをチェック。評価に関しては、自分の一般的感覚はさほどずれていないことは、日常の友人との会話の中でわかっていたからさほど気にせず。ただ、気になったり自信がないときは、友人に聞いてみる。「〜って評価したんだけど別に変じゃないよな?」みたいな。あーん

 そうやって気になったことを答案に赤入れする。PCで起案したときは、コメント機能を使う。過去問なんかはこれがすごく使いやすくて、趣旨・実感に書いてあったことをメモ的に記載できる。つまり、一度答案を作成すれば、それを見返すだけで趣旨・実感もチェックできたことになる。復習がラクになる。全部はやってないけど、知財と会社法、一部刑訴もやったかな。他は忘れた。今、そっちのデータ入ったPCが不調で見られんから確認できねえ。…あっ

 というか、むしろここまで自分でやったうえで、再現答案見てもらうべきだと思うんだよね。そうすれば、趣旨・実感にどう書いてあったが一目瞭然なわけで、指導する側の負担も減る。指導する側ってようは合格者なわけで、修習又は実務家として忙しいはず。そういう人にとっても手間は減るし、自身は力つくし、ウィンウィンだと思う。だいたいみんな先輩とかからタダで見てもらってるわけでしょ?だったら、できる限り相手の負担を減らしてあげた方がいいよね。しかもそれが自分の力につながるわけだし。

そして何より怖いのが「見てもらいっぱなし」で終わること。これじゃあ結局、個別指導という形態をとった授業を受けただけやん?集団授業より個別指導の方がいいのかもしれないけど、「授業・指導」であることに変わりはないし、それは主体的な「学習」ではない。しかも一回ゼミしたらなんかもう休憩の流れになるし、後でやるのだるくなる。だったら、その前に全部終わらせておく。「ゼミしてから復習」ではなく「予習してからゼミ」ってイメージになるのかな。もちろんその後にちゃんと復習すれば最強だけども。まあ、見てもらって満足するなよ、とは言いたい。うひょおおおおおおお

明日は成績返ってくるかなあ。

【設問1】
 管轄について。専属VS付加的合意という対立軸なのは言われていたとおり。Y側が専属的合意であるとする立論の根拠はたいして書かれていないので(11条とか出てない)、メインは付加的合意であるとの反論。具体例として挙がっているのは、

 「専属って書けたのに書いてないやん」ってのともう1個はよーわからん。まあ、この他複数考えられるとされているから、説得的に書けていればいいんでしょう。大事なことは何かかくこと、そして、書けるならなるべく書くこと、でしょう。問いとしては、「管轄合意の解釈のあり方を問うもの」とされているから、つまるところ契約の解釈という民法のそれに近い問題だったといえる。

 移送について。自庁処理という言葉は俺も後から聞いたから知らんかった。なるほど、A→Bって流してもまたB→Aって戻るから意味ないやんって理屈らしい。なお、17条類推適用があがっているが、16条2項を根拠としてあげることも認められているのね。
 が、求められるのは以上の論拠のもと、17条の要件の検討。「著しい遅滞」又は「当事者間の公平」が要件なので、これの当てはめ評価をすればよい。

【設問2】
 まず求められるのは自白の要件の検討。そして成立要件としてあげられたのは4つ。そして、深く検討が必要なのは「事実」と「不利益」の部分。
 「事実」については主要事実と間接事実のおなじみのやつ。ほとんどの人は主要事実限定説であろうが、もちろん間接事実を含めるパターンも否定はされていない。ゆえに、その後の撤回効の議論では、元の請求で自白成立していないが(間接)、追加請求では自白が成立する(主要)という正規ルートのみならず、元の請求でも追加請求でも自白が成立する(間接→主要だが間接事実も含める説を採ればいずれにせよ自白は成立することになる)というルートでもOK。
 「不利益」要件についても、証明責任説、敗訴可能性説、不要説いずれでもいいから当てはめが必要(不要説なんて初めて知ったわ)。
 難しい問題ではあったが、蓋を開けたら、ただただ自白の要件の当てはめをして、あとは不可撤回効のところで適当に不都合性を指摘するだけ。「ただただ」とは言ったが、これがなかなか難しいんだよねえ。これは民訴というより民法だし。だから、設問2ができずに評価悪かった受験生も、「自分は民訴ができない」と短絡的に考えるのではなく、「民法、ひいては要件事実ができない」と考えましょう。逆に言えば、要件事実の勉強は民法民訴ダブルで点数が取れる可能性をあげる最高の勉強素材。

【設問3】
 出題趣旨では思った以上に、自己利用文書に紙面が割かれていたのが意外。特に真新しい記述こそないが。俺は書けなかったしムカつくからこれで終わり。

【来年度以降に向けて】
 設問2でも書いたが、今年の民訴できなかったとしても「民訴ができない」と思う必要はない。マイナー分野からの出題、そして自白は要件事実の問題にすぎず、典型的な弁論主義、処分権主義、既判力に加え、訴えの利益や複雑訴訟等のザ・民訴問題が出てないんだもん。
 ザ・民訴問題で力つけたいなら平成29・30年の問題をやるべき。よっぽどド典型。そっちができなかったときは、「民訴できない」と思った方が良い。もちろん、完璧である必要はないけどね。

 注意すべきなのは、民訴でも他の科目同様、当てはめ評価が必要ということ。抽象論厚くて当てはめ薄いって人はけっこう多い、俺もそうだった。でもそれは違うから気をつけて。あとは要件事実やろうぜって感じかな。
 債権譲渡の要件事実は?って聞かれて答えられる人いますか?わいは、譲受債権の発生原因事実と譲渡人からの取得原因事実ですって答えられるで。1回目のときは、「え、え、X所有とわ、Y占有です…」しか言えんかったわ。頑張ってくだせえ!!

成績表は多分火曜日だと思いますのでしばしお待ちを。おしまい。

【設問1】
説明と比較について。
まず、説明については、297条・303条・305条くらいが挙げられているだけ。まあここらは再現ブロガーもみんな同じ感じですね。
比較については、例えば、以下の3点への言及が期待される

①自ら招集する場合には、意向が反映されやすい

②自ら招集する場合は、その分費用も自分持ちになる

③自ら招集する場合は、総会を待たないで済む

せっかくなので、再現ブロガー見直してみた。

ムキムキ兄やんさん→いずれも言及なし
司法の犬さん→①につきイニシアチブという表現で言及あり
氏名黙秘さん→いずれも言及なし
ついたてさん→費用の点を論じており、上記②に該当
ほいやーさん→総会時期という意味では③に近いが、持株要件の話になっているのが残念
しゃちほこさん→いずれも言及なし
黙示録こと俺→いずれも言及なし

というわけで、設問1について出題趣旨に完璧に沿ったものはなし。一部捉えたのが、司法の犬さんとついたてさんということになりました。

【設問2】
まずは、247条類推適用の可否。ここは特に特筆すべき事項はなし。

次に、差止事由だが、法令違反又は不公正発行とされており、どっちのルートでも点数が入るようになっている。
あとは、適宜事実が拾われているわけだが、結局のところ、民法同様、法律論は複数の正解筋が用意されていて、その先の当てはめ評価が大切であるということでしょう。その他はたいした記載なし。

【設問3】
定款の効力について、てっきり重版の平成29年判決が引用されるかと思いきやなし。条文も明示されたのは362条ではなく295条。思ってた感じと違うなあ、と。
 任務懈怠については、安易に経営判断原則に流すことへの注意喚起がある。俺はやってしまったがな。


うーん、なんか会社法はずいぶんあっさりというか。手抜きにも見えてしまうというか、よく考えたら問題自体もだいぶいい加減なような気もする。平成27年とかすごく良かったのに。ちょっと勉強方法いついて書こうとも思ったけど、先が読めなくなってきたからやめる。俺も手抜いてんじゃねえか!

おしまい。

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