司法試験黙示録 @gouyokunakaze

3回目受験生。再現答案とか適当に書いてる。ツイッター→@gouyokunakaze

2019年06月

最近、5ch等で人の再現答案を見ることがある。その際、無意識的なんだけども、自分の「読み方」があることに気づく。そして、この「読み方」っておそらく自分だけじゃなくて、他の読者、ひいては採点委員も同じような「読み方」をしてるんじゃないかと。そこから、採点の仕組みというかなんというか、そういうものがなんか見えてきた気がするので書いてみることに。
令和元年司法試験、民法の問題を例にあげる。
まず、設問1を見るわけだけど、前半で「請負」「契約」「何らかの規範」「結論」この辺りをざっと読む。ああ、この人はこういう規範だてして注文者Aに所有権あり、としてるんだなぁと。次に、717条論じてるか見る。正確には717という数字を探してるイメージ。その上で、条文の文言ひいてそうな雰囲気と、結論を見る。
  で、設問2。まず賃料とか賃貸人たる地位って言葉の有無確認。次に債権譲渡とか、将来債権、特定って言葉あるかどうか。その上で、内容細かくは見ないけども正当性を持論として何か論じてるか、あと、結論でFとHのどちらを勝たせるか。
 で、設問3。「95条」「錯誤」「動機」「表示」「意思表示(法律行為)の内容」「重過失」という言葉を、探す。終わり。

 つまり何が言いたいかと言うと、いきなり一文字ずつ丁寧に追ってくような読み方なんかしないよねって話。それって、非効率。まずはざっと全体の流れを読む。注目するのは①一目でわかる数字、つまり条文と②いわゆる論点を論じているのであれば当然に出てくるであろうキーワード(“動機”とか“賃貸人たる地位”とか)、③結論。その上で、細かい当てはめやら評価やらをチェックしていく。多分、みんなそうだよね?僕だけじゃないよね???しかも、その作業って、「読む」というよりは①②③を「探す」って感覚に近い。

そして、このざっと読んだ段階でさ、「あ、こいつ合格だな」「これはちょっと…」ってのが何となく感覚でわかると思うんだ。今年の民法ならざっと読んで、717条も467条も書いてなかったらもうアウトだなって思っちゃうよね。

つまり何が言いたいかというと、全体としてみたときに、少なくとも合格レベルか不合格レベルかはある程度わかっちゃうし、「そういう目」で細かいところも採点されちゃうんじゃないかと。合格(不合格)推定とでも言おうか。「この答案はわかってるはずだ」っていうバイアスがかかる。だから当てはめ評価もそういう目で採点されてしまう。

合格者答案についてはそんなに文句はないだろうが、不合格推定答案としては、「いや、もっと細かいところまで見てくれよ!いいこと書いてあるんだから!そんなバイアスはやめろ!」と言いたくなる。もちろん、採点委員だって、できる限り善解はしてくれるだろうし(そう信じたい)、なんとか点つけてくれようと一生懸命読んでくれるだろう(ここもそう信じたい)。けれども、採点委員も人間だし、最初に持ったイメージはそう簡単に払拭できるものではない。裁判官は、証拠能力なしと判断したとき、そんなもんはなかったんだと排除して心証を形成できると聞いたことある。が、完璧にできるのか、と。
 白い巨塔でさ(岡田君よりやっぱり唐沢派。以下、軽いネタバレ注意)、財前教授(唐沢寿明)が尋問されたとき、柳原君(伊藤英明)に罪をなすりつけようとするんだけど、これを傍聴席で聞いてた柳原君が爆発して、「今の証言はウソです!私はそんなことは命じられていません!カルテの改ざんもしました、私は偽証罪に問われても構いません!!!」って叫ぶシーンがある。財前教授の弁護人してる国平弁護士(及川光博)が、「傍聴席の発言はヤジと同じなので裁判記録には残りません」って言うんだけど、俺が裁判官なら「財前絶対やっとるやん・・・」って思ってまうわ。観てない人は、修習前に白い巨塔観ようぜ!

話を戻そう。要するに、言いたいことは、「ざっと読みの段階で合格推定取れるような答案を書こう」ということ。不合格推定からの逆転は難しいだろうし。そうすると結局読みやすさがーとかナンバリングがーって話になっちゃうんだけどね。

ちなみに、去年の採点実感(民法)見るとヒントがある。

・・・採点項目ごとの評価に加えて,答案を全体として評価し,論述の緻密さの程度や構成の適切さの程度に応じても点を与えることとした。これらにより,ある設問について法的思考能力の高さが示されている答案には,別の設問について必要な検討の一部がなく,そのことにより知識や理解が一部不足することがうかがわれるときでも,そ のことから直ちに答案の全体が低い評価を受けることにならないようにした。また,反対に,論理的に矛盾する論述や構成をするなど,法的思考能力に問題があることがうかがわれる答案は, 低く評価することとした。また,全体として適切な得点分布が実現されるよう努めた。

 少なくとも、民法にはこう書いてある。いわゆる配点表とは別に、全体として、緻密性によるポイント、構成の適切性によるポイントが加算されると。緻密性は難しいけども、構成の適切性に関しては狙う余地はあると思われる。もっとも、今年も同様の採点かはわからん。逆に言えば、去年の答案はどっちもないからFだったんですがね。

僕の場合、ざっと読み段階で「憲法22条で書いてるやん・・・」「利益文書で書いてないやん・・・」「詐欺しか書いてないやん・・・窃盗の文字ないやん・・・」ってのがわかる。つまり、ここで不合格推定バイアスで読まれるわけだ。もっとも、民訴に関しては、管轄→自白までは読まれてるわけだから、設問1からやらかしてる場合に比べれば、「ああ、最後でミスっちゃったんだねえ」っていう気持ちだろう。これに対し、刑法は設問1からだから「君、こんな基本もできないの!?」っていう気持ちで読まれるんやろなあ。

前に誰だったかな、「書き出し10行を練習するといい」って言ってたけど、実はこれ、けっこう的を得ていたのかもしれないね。

ちなみに、タイトルは、「古畑任三郎で、石黒賢が犯人だった回を思い出した」ことに由来してます。

採点対象者・・・4429人
合格者・・・3287人 

→採点対象者の74%が論文採点の対象となる。逆に言えば、26%が足切りという結果に。
いわゆる1500人ルールがどこまで意味してるのかはわからんが、論文の採点は3000人+α確保しておかないと、ちょっと合格率が変に高くなってしまう。そういう意味では、こんなもんなのかなあ。

最低ライン・・・108点

去年と同じ。これもまあ大方の予想どおり、上がりも下がりもせず。

平均点・・・119・3点(民法57.4 憲法30.5 刑法31.4)

 これはちと高い。「短答ムズ!!」というあの感覚自体に違いはないが、やっぱり民法が高かったね。そして、憲法も刑法も平均30点を超えている。あ、私はいずれも平均は超えています。マークミス怖いけど。


 おそらく、難しく感じたのは、「自信をもって答えられた問題が例年より少なかった」ということにある。例えば、話題になった特別公務員暴行陵虐罪、刑務官のS◯Xに度肝を抜かれる。もっとも、この問題は、被害者の承諾についての問題と冒頭で書かれており、他のあしは、暴力団の指詰めとか自殺関与罪等、わりと基本的な問題。だから、他のあしを自信をもって切れさえすれば正解できた。ただ、いくら他のあしが切れたとしても、それイコール現場での絶対的自信にはつながらない。このふわふわした感情が、「難しい」と感じさせたのであろうと思う。
 これは余談だけど、踊る大捜査線のスピンオフ映画で、「容疑者室井慎次」ってのがあってだね、最近アマゾンプライムで観たんだが、殺人事件の被疑者となっていた警察官Aが取り調べ中に逃げてしまって、追いかけた警察官Bが掴みかかったという点について、指揮を執っていた室井さんが特別公務員暴行陵虐罪で逮捕されてしまうというのがありました。
 また、この他、公務員職権乱用罪、窃盗罪の実行の着手についての穴埋め問題で出てきた「犯意の飛躍的表動」とかいう謎の言葉、と思ったらすぐ次の問題もやたら長い穴埋め、といった嫌な印象が残る問題がおおかったことも、「難しい」と感じさせた原因の一つであろう。
 しかし、蓋を開けてみると、「自信なかったけれども採点してみたら結果的には合ってた」みたいなことが起こる。これが、平均点が30点を割らなかったゆえんであると思う。

 未来の受験生に向けて。私は、3回目受験であるが、1回目も2回目も、そして今回も120点台である。なぜか。短答を舐めていたわけではないが、前年度に一応突破していると、「これくらいやれば通る」という感覚ができる。私の場合は、3〜4月にある程度まとめて詰め込むというやり方で、TKCの修了生サポートシステムを使った。憲法なんてコスパを考えて、ほとんどやってないレベルだし、刑法もそこまで。ただ、民法は苦手だったからやった。その結果、勉強時間に比例した結果になった。

 このやり方でも120点台は取れる。ただ、注意してほしいのは、過去問であれば150〜160点以上だって取れるくらいにはやっていたということ。それでも、本番は下がってしまう。初めての問題もあれば、時間制限もある。緊張もするだろう。そして、何より、普段の勉強とは違って、論文試験のため4〜5日、勉強内容が実質的に制限されている。使えるのは刑訴終了後から翌日の朝まで。せっかく覚えていたことも、論文試験の間に多少は抜けるということを知っておかなければならない。以上を考慮すると、試験後に落ち着いて読むと、「これ答えられたじゃん!!」というのが10〜15点あったりするもんなんだよね。ちなみに私は、民法の問題用紙に、「1→2に変更」みたいなメモを残しておいたんだけど、変えたことで失点になってしまったのが4点あった。憲法ではなんでこれミスったんだ、というのがやはり4点分。刑法は3点。計11点分か。

 おそらく、140点あたりまではしっかり勉強すれば取れるんだろう。私は、毎日コツコツできないタイプゆえに無理だったが。もっとも、それ以上を目指すとなると、コスパも変わってきそうな気もしている。そこは各々の戦略次第。憲法で国会法まで抑えておく!みたいなことは私は一切してません、はい。

 再現答案、及びその感想については無事書き終わったわけだけども、既に辰巳や資格スクエア等、論文についての速報も出ていて、できたできなかったが、主観ではあるが、何となくわかってきた。そのうえで、去年よりは可能性あるな、と思える点についてちょっと書く。

【選択科目(知的財産法)】56点→46点→?
 1年目はそこそこ手応えがあってこの点数だったし、主観と一致していた。2年目も、「おまえ、下がってるじゃねえか!」と言われそうだが、主観的評価との一致はあった。明らかに死んでたし。特に特許で。その点、今年は、1年目ほどの手応えがあるかは微妙なところだけど、去年よりは明らかにできてる。少なくとも、偏差で真ん中を下回るとは思えない。だから、50点は取れる。というわけで、ほぼ確実に去年より上がっているはず。+1。

【憲法】D→D→?
 後半22条で書いてるという失態。ただ、去年21条んとこ19条で書いててD。つまり、権利選択ミスることと一発Fとはイコールではない。もっとも、いい評価はつかないだろう。だから、上がるかと言われると多分きつい。じゃあめちゃくちゃ下がるかと言われるとそれも微妙。一応の憲法の書く形式ができていれば、Dはくるってことなのかもしれない。ツイッターの議論も5chの議論も私にはわからん。
 ちなみに、去年受かった友人は「判例とか別に書いてないけど事実の評価をかなり意識したらAきた」とのこと。まあ今年は去年よりも判例の意識が必要〜とかなんとか言われてるようなのでここもイコールとは言えないが(私は憲法上の評価とか言うのが未だに謎なのでわかりません)。
 おそらくは去年と同じくらいだと思っている。±0。

【行政法】A→B→?
 得意だなんておこがましくて言えないが、沈まない答案ではあると思っている。多くの受験生は行政法にそれほど時間をかけてられないのだろう、採点実感見てもわかるけど、思ったよりかはレベルが低い。「え?これで一応の水準なんすかっ!?」みたいな。だから、答案形式ができていて、誘導に乗り、個別法をきちんと引いていれば(個別法の解釈うんぬんは優秀レベルだと思う)、案外点がつく。少なくともこの2年間はそう。まあ3回目に当たって、行政法何かしたかと言われたらぶっちゃけほとんど何もしてない。向上はしてないだろう。
 今年の問題でいえば、例外はあろうが、論点としての優先順位は裁量→違法性の承継→補充性なのが共通認識のはず。補充性書けるけど裁量は書けないというのはあまり想定できない。裁量と違法性の承継が最低限書けてればいいと思います。補充性んとこ完璧に書けるのはAの中でも上位答案でしょうね。
 行政法も、現状維持くらいかと。±0。

【民法】F→F→?
 さすがに上がってるはず。2年連続Fだからな。もちろん、今年はみんな書けてそうではあるが、それでもFはないでしょう。
 なんでFだったのかと聞かれると、そりゃ設問3つ全部死んでたから。29年は、賃借権の時効取得書けてない、転貸に当たるかをわけわからん理屈であろうことか判例とも真逆、設問3明後日の方向。30年は、受領遅滞書けず、百選100知らず、相続人の排除うんぬん無視。そして、短答もどっちも40点台。つまり、シンプルに民法が超のつく基本レベルでできてなかった。
 行政法ほとんどやってないって言ったけど、それは民法やってたからってのもある。おかげで、今年は、民法についてデカイ失態はない(はず)。短答も易化したとはいえ、61点。マシになった。
 知財に続いて、上がるのはほぼ確実。+1。

【会社法】E→C→?
 29年は設立書けなかった。事例で考えるをやってたけど、設立についての事例4だけきれいに飛ばしてやってた。やってないもんは書けんと言い訳させてくれ。そして何なら設問2もだいぶ死んでた。
 去年は利益供与最後に1行書いた程度。つまり実質書いたうちに入らず間接取引で処理した。それでもCでとどまったのは、まあそれ自体難しかったのもあるけど、設問1の帳簿閲覧請求で死なずに済んだこと。
 今年はどうか。設問1は差はつかんでしょう。一部の人がずば抜けることはありうる。でも、あとは団子状態かと。そうなると、やっぱり勝負は設問2、配点もデカイ。詳しくは、会社法の再現答案、及び感想を見てほしいけど、まあ悪くない。そして、設問3も無難。とすると、下の方のAが来てもおかしくはない、かと。せめてBにはとどまるはず。つまり、会社法も知財、民法に続いて上がる。+1。

【民訴】D→B→?
 管轄で専属的合意と付加的合意の対立、17条類推をどっちも知ってたのはアドバンテージ。そして、自白んとこも間接事実→主要事実という大枠の処理は合ってるはず。もっとも、細かいところでは書き負けてるだろう。
 そして、設問3が死亡。管轄のアドバンテージと相殺するには足らん。自己専利用文書はみんなそれなりに書ける。ただ、配点が少ないこと、設問3であることなんかも希望的に考慮する。
 まずAはない。設問1個ミスってAはないであろう。じゃあ、Bはどうか。人数の減少で、ギリギリ手はかかるかもしれないと期待も抱くが、そう甘くはないだろう。
 そうなると、Cくらいが妥当か。まだ、甘いか。だとしたらDでとどまってほしいところ。
 よって、民訴はほぼ確実に下がる。−1。

【刑法】B→B→?
 設問1死亡。みんな書けるだけに痛い。規範によっては、詐欺罪もいけるというのは見た。というか私もそう思った。でもだとしたら1項詐欺罪で書ききるべきだった。2項ならいけるというのはやっぱり変だよな。よって、死亡確定。しかも憲法の21条とか自己専利用文書以上にみんな書ける系論点なだけに致命傷とも言えよう。
 設問2は死亡ではないとは思うが・・・。
 設問3も死亡。故意落としたし。1と比べたらみんな書けない系だが、みんな書ける故意落としている以上、相対的に下がる。
 問題は、Fまで下がるかということ。論文採点対象がおそらく3100人くらいみたいなのをどっかで見た。そうすると、Eでとどまってはほしい。あわよくばDとも思うが、きついかな。
 よって、ほぼ確実に下がる。−1。

【刑訴】D→C→?
 理論は知らん。が、とにかく最低限の指示に従って、なるべく事実を拾うようには心がけた。設問2も可否書いて公判前うんぬんは適当に理屈は立てて書ききった。高い評価がつくかと言われたら、これまでの評価からすれば、微妙。ただ、極端に沈むような答案でもあるまい。
 よって、現状維持、あわよくば上がるかもって感覚。±0。

 そうすると、知財・民法・会社法が上がり、民訴・刑法が下がる。+1。そして、上がる科目はB・Aあたり来てもいい感じ。特に民法の飛躍は大きい。一方で下がっても、Fまでは沈まない。とすれば、やっぱり全体的に上がる・・・はず。
 こういう見方もできる。去年は1800位くらいだった。その中で、いくつ大きなミスをしたか、という視点である。
 知財、特に特許で盛大にやらかした。
 憲法では権利選択ミス。
 行政法はなし。
 民法は設問全部死んでる。
 会社法利益供与できず。
 民訴はなし。
 刑法私見書かず(それでもBきたが今年はみんな書くだろうし許されないミスでしょう)
 刑訴非伝聞用法のみ書き、伝聞用法書かず。
 つまり、6個。刑法抜いても5個のミス。これで1800位である。そして、もうひとつ注意すべきは、デカイミスはなかった行政法と民訴もAではない、ということ。
 これと比較すると、今年の大きなミスは、憲法の権利選択ミス、民訴の自己専利用文書、刑法の設問1(3もだけど)の3つ。一方で、それ以外について一応Aの可能性がある。つまり、ミスが2つ減って、なおかつ、Aが複数あれば、1800位から合格ラインまでいけるんじゃないか。そう思う。ちなみに去年、「原適書いてない」「民訴設1で管轄書き、かつ自己専利用文書構成」「会社で利益供与書いてない」という3ミスあったが、Aが4つで合格した友人がいる。この事実も根拠になるだろう。

 まあ蓋開けて見なきゃわからないけど、去年のどうせ落ちてるやろな・・・感よりはマシ。やらかしがいくつあるかという視点も合格可能性を測るのに有用かと。

【設問1】
別件逮捕はまあいい。が、なんか刑法パクったろの精神で謎の(2)が。しかも、伝聞じゃねえのかい。

 別件逮捕の問題といえば、想起されるのは平成23年の問題。過去問はLIVE本準拠で演習していたから、別件についての逮捕→勾留→余罪取り調べっていう流れで準備していました。そして、そのままの流れで書くことに。
 逮捕の理由んとこ、「…相当程度の蓋然性」っていう定義を、「…明白性」にしてしまった。ミス。そして、必要性で規則引いたけど、ここで逃亡のおそれ認定もしたから、勾留要件書くことなくなるという。87条1項だけ引いたけども。
 で、余罪取り調べ。考慮要素明確に暗記してはなかったから、まあある種のでっちあげ。普段は、考慮要素って、当てはめんとこで合わせて書くようにして前出しはしないんだけど、一応書いておいた。自分の整理のためでもあるけど。
 本番でどこまで丁寧に事実引いて評価したかはどうでしょうね。それなりには書いているはずだけども。とりあえず思ったのは、「本件(強盗致死)のほうが取調べ時間長いけど、別件の空き時間にやってたっぽい感じだし(というか別件は他の証拠固め初めてるし、自白取りに行かんでもとりあえずええやろみたいなイメージ)、セーフ!! 後半で違法にするってのも決めてたから適法にしなきゃいけないってのもあったけども。

 んで、(2)。まあ、ここはTwitterでも5chでもいろいろ言われているところでしょうが、僕なりに現場で思ったことを。
 まず、設問の指示を分節すると、
①「1とは異なる結論」
②「を導く理論構成」
③「具体的事実を摘示」
④「これを採用しない理由についても言及」 となる。

まず、①。シンプルなのは適法→違法、違法→適法でしょう。もっとも、逮捕・勾留・身体拘束と3つに区別できるし、部分的に結論を変えるというのも「異なる結論」には当たるだろうからこれもアリだよね、きっと。
で、②。事実の評価で対立させればよいみたいな指摘が一部あったけど、事実の評価って「理論構成」とは違うんじゃないかなーと思ったり。事実の摘示は、③であって、やっぱり素直に考えると「理論構成」≒法律構成と読み替えるんじゃないかなー。個人的な見解です。
③、まあこれは要するに、抽象論で終わらすなということでしょう。
④もまあ書いてりゃいい。

 次の問題は、1と2のバランス。つまり、1も2も同じ分量が求められているのか、1をメインで2は少なめか。私は、後者だと思っている。というのも、採用しない理由まで求められていること。あえて採用しない内容でゴリゴリ書くことを求められているとは思わん。

 最後に、どの説を書けばいいのか。知らん。実態喪失説なんて知らんわ。まず、基本書として使ってたリークエには①〜⑤として5つの説が紹介されているが、「実態喪失説」という言葉そのものがない(1版だけど2版なら書いてあるのか???)。そして、③〜⑤の説はサラッと流し読んだだけ。
 平成23年出題趣旨。こっちも「別件基準説と本件基準説を中心に多様な考えた方があるところであり…」とされてるだけ。
 果たしてそこまで求められていたのか、どうなんでしょうねえ。ちなみに私は、別件は余罪取り調べの問題として適法→後段は、本件基準により違法としています。実は、上に書いた「1をメインで2は少なめに」というのと上手くハマってると思ってるんだよねー。前段はゴリゴリ当てはめ、後段はPが他に罪ねえかなって社長説得してたあたり使って目的認定、みたいな。まあ刑訴得意でもないし深いことはまったくわからんのでここはもうしゃあなし。

【設問2】
 要否は・・・いらんよな?すべきと思ったからこそ検察官は訴因変更しようとしてるわけだし。第一、そんな書く時間ねえ。というわけで書いてません。
 可否はまあ。最低限のことは書いたつもり。でも、「可否の書き方はこれで大丈夫」と誰かのお墨付きをもらったわけでもないので実際は不明。
 んで、公判前うんぬん。後でノートみたら百選あったね、全く思い出せんかった。とりあえずここらへんはでっち上げ規範使って、社長が急に言い出したんやからしゃあないやろって感じで書いてます。まあ案の定書きなぐりだけどみんなそうだよね、ここらあたりは。

 というわけで、結局設問1の正解筋は不明なわけだけども。一応の水準は、、よーわかりません。ひとつ言えるとしたら、例年は、刑訴については理論部分、いわゆる「論点」は書いて当たり前で、むしろ評価が勝負(民法とかわりと法律構成気がつけば勝ちみたいなとこあったし)。でも、今年は理論面も謎になった結果、そこでも差がつく可能性が出た、と。言い換えれば、評価得意マン=必ずしもAとは言い切れないし、評価不得意マンでも多少は点数が上がる可能性がある、みたいな感じかな。もっとも、それでも具体的事実とその評価が最重要なのはいわずもがなですが。

 成績評価は、うーん。真ん中くらいかなあ、得意でもないし。というわけで、主観的評価は・・・C!
やっと書き終わったあああああ。

設問1
1.下線部①の逮捕、勾留、引き続く身体拘束の適法性について
 甲を業務上横領の被疑事実で逮捕等した行為は、いわゆる別件逮捕に当たると考えられるところ、その適法性については、余罪取調べの限界として考えれば足りるから、別件自体がそれぞれ要件を満たす限りは適法である。
(1)通常逮捕
ア 「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」(199条1項)
 特定犯罪と犯人性が明白な場合をいう。
 Pは、甲の勤務していたX社社長から甲が過去に3万円を横領した旨の供述を受け、その被害届も出されている。そして、甲に3万円を渡したとのAの供述調書や、その記載のなる帳簿類がなかったとの捜査報告書もある。このような事実関係からすれば、業務上横領事件という特定犯罪及び、その犯人が甲であることの明白性が認められるから、標記要件を満たす。
イ 「逮捕の必要性」(199条2項)
 逃亡のおそれ又は罪証隠滅のおそれある場合をいう(規則143条の3)。
 甲は、単身生活し、無職でもあり、預金残高も1万円と少額で、不安定な地位にある。そして、法定刑が最長10年であることも考慮すると、甲が、起訴をおそれて逃亡するおそれがあったといえる。ゆえに、必要性も認められる。
ウ そして、上記の要件のもと、発布された逮捕状により逮捕しているから、適法な逮捕である。
(2)勾留(60条)
ア 「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」(60条1項柱書)
 上記(1)で述べたとおり、認められる。
イ 「逃亡すると疑うに足りる相当な理由」(同条1項3号)
 上記(1)で述べたとおり、甲に逃亡のおそれが認められる。
ウ 「必要がないとき」でないこと(87条反対解釈)
 特にこれを否定すべき事情もない。以上によれば、勾留も適法である。
(3)余罪取り調べの適法性(=身体拘束の適法性)
 余罪取り調べについての明文の規定はない。しかし、仮にこれを無制限に可能とすることは、令状主義(憲法33条)の精神を没却しかねない。一方でこれを禁止する規定もなく、現実にこれを行うべき必要性ある場合も否定できない。以上からすれば、各犯罪の罪質や、それぞれの証拠の獲得状況、捜査の重点の置き方や時間、捜査官の主観的意図等を考慮し、令状主義の潜脱と認められる場合に限り、違法となると考える。
ア まず、本件は強盗致死傷事件であり、別件は業務上横領事件である。前者は、身体犯であるとともに死亡結果まで起きており、死刑まで法定されている(刑法240条)。一方で後者は、被害額も少ないのもであり、本件のほうがそのより重い事件であるといえる。
イ 証拠の点について。別件について、まず甲は否認している。もっとも、返済を迫っていたYとの待ち合わせの事実が判明し、Yから甲が臨時収入があったから金を返すと発言した旨の供述調書を得ている。また、防犯カメラ映像についても、H店には甲が確認できず、また、I点については画像確認に時間がかかっていた。一方で、A宛の領収書データが甲のパソコンから発見されるに至ってもいる。
 一方、本件についても、一貫して甲は否認していたが、3月15、2ヶ月分の家賃が振り込まれたとの大家の供述調書を端として、甲が原付自転車を売却したことも明らかとなり、ついには入金状況等への追求を契機として、自白するに至っている。以上からすれば、別件の証拠収集活動を主に行っていたといえる。
ウ 捜査の重点や時間について。別件については計20時間、本件については倍の計40時間の取り調べが行われている点で本件に重点を置いているようにも思える。もっとも、Yの都合上、Yの取り調べは16日までなしえず、防犯カメラ映像についても修理中であり、その確認はやむを得ない事由により遅れている。その間、別件については取り調べ以外の手法により、裏付け捜査やパソコンデータ精査等による証拠収集活動を行っていたのであり、その時間を利用して、甲の本件についての取り調べを行っていたと認められる。よって、必ずしも本件に重きがあったとはいえない。
エ 捜査官の主観について。別件逮捕の際、本件の逮捕も視野に入れて、捜査は並行して行われており、本件について逮捕するに足りる証拠の獲得をも目的としていたと認められる。
オ 以上を総合すると、本件についての取り調べ時間が多い点は否定できないが、これは別件をメインとして行われたものであり、別件について他の証拠収集をし、取り調べが不要な時間に本件の取り調べをしたと認められる。よって、令状主義の潜脱とまではいえず、適法な取り調べであったといえる。よって、身体拘束も適法である。
2.異なる理論構成について
(1)構成
 上記に対し、本件基準説があり、本件を目的とする捜査手法に当たる場合には、違法である。
 Pは、本件についての証拠が不十分であることから、別の罪の嫌疑がないかと考え、X社社長か別件についての情報を得ている。そして、X社社長が被害額が少額であることや世間体から被害届を出すことを渋ったにもかかわらず、繰り返し説得を続けてこれを得ている。このようなPの手法は、本件について捜査を進めるために、別件で甲を引っ張ろうとの目的であるといえる。従って、かかる手法は違法であり、これに基づく逮捕、及び、勾留、引き続いて行われた身体拘束も違法となる。
(2)採用しない理由
 このような考えは、捜査官の主観を考慮するものであるが、令状審査の段階において、裁判官が捜査官の隠れた意図を見抜くことは事実上困難である。また、同時に2つの被疑事実について捜査すべき必要ある場合も否定できない。加えて、並行して捜査を行うほうが被疑者にも便宜的な場合もあり、これを認めないとすると、かえって不当に身体拘束期間が長くなるおそれもある。以上の理由から、このような理論構成は採用できない。

設問2
 下線部②の訴因変更の請求を、裁判所は許可すべきか。
1.訴因変更の可否
ア 訴因とは、検察官が主張する特定の構成要件に該当する具体的な事実をいう。そして、訴因変更は、「公訴事実に同一性」(312条1項)ある場合に認められるところ、その趣旨は、被告人の処罰理由の渉猟的探索の禁止にある。従って、その意義は、基本的事実関係が社会通念上同一である場合をいい、両者の共通性の有無により判断される。そして、重なり合いが少ない場合には、非両立の観点も加味される。
イ 公訴事実(以下、それぞれ単に1、2とする)1も2も、日付は同じ平成30年11月20日である。そして、場所は、A方付近から、A方とされているがいずれも同一性の範囲内といえる。また、いずれも財産犯かつ領得罪であり、3万円の被害額も同じであるから行為態様にも共通する面がある。
 加えて、1の業務上横領罪は、甲の処分権限ある場合に成立し、そうでなければ2の詐欺罪が成立することになる関係にあり、非両立の関係といえる。
 以上によれば、公訴事実の同一性が認められるから、訴因変更は可能である。
2.公判前整理手続きを経ている点について
 公訴事実に同一性あるとしても、本件では、公判前整理手続きを経ているとの事情がある。かかる場合にも、無制限に許されるとすると、手続を経たことが無意味になってしまうのではないか。
 公判前整理手続きの趣旨は、裁判の迅速性を確保する点にある。一方で、公判廷において初めて明らかとなる事実がある場合も否定できない。従って、そのような事実の出たことが、必要やむを得ないと認められる場合には、訴因変更を許可すべきである。
 公判前においては、甲に処分権限あることが前提とされ、弁護人からも主張はなかった。そして、公判において初めてX社社長が、甲に処分権限なかったことを述べており、Aもその事実は知らなかった。甲自身はその認識あったようだが、X社社長が突然公判で上記のような発言をすることは、記憶違い等無理からぬところである。従って、必要やむを得ないと認められる。
 以上により、標記の訴因変更請求を裁判所は許可すべきである。

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