司法試験黙示録 @gouyokunakaze

3回目受験生。再現答案とか適当に書いてる。ツイッター→@gouyokunakaze

2019年05月

設問1
課題(1)について
1.Yの解釈について
 Yは、本件契約は、管轄について専属的合意があったと主張する。
 まず、本件契約は、XとYを「当事者」(11条1項)とし、「B地方裁判所を第一審の管轄裁判所とする」との文言から、「第一審に限り」「合意」があるといえる。そしてこの合意のもと、本件契約に関する一切の紛争というかたちで、「一定の法律関係」(2項)について契約書があるから「書面」によってなされている。従って、管轄の合意についての要件を満たす。
 そして、Y社は、全国各地に支店を有しており、それぞれの支店で紛争があった場合においても、本店あるB県B市のB地裁でこれをひとまとめにして行う趣旨であることは、「一切の」との文言からも明らかである。ゆえに、B地裁を専属的管轄とする合意が成立している。Yは、以上のように主張する。
2.Xの立論
 これに対し、Xは、本件契約は、専属的合意ではなく、付加的合意であって、A地裁は排除されていない、と立論する。
 本件契約は、売買契約であり、「財産権上の訴え」(5条1号)に当たるから、その事物管轄は「義務履行地」であるA支店あるA地裁である。また、支店があるからその「所在地」もA県となる(同条5号)。そして、本件契約に、かかるA地裁を管轄から排除するとの文言はないし、「一切の」との表現から直ちにA地裁を排除したと読み取ることもできない。従って、本件契約は、A地裁を排除するものではない。Xは、以上のように立論する。
課題(2)について
 仮に、Yの解釈を前提とすると、原則としては、管轄違いとしてB地裁に移送されることになる(16条1項)。
 もっとも、例外的に、移送しないことが認められないか。法17条は、移送を認める規定であって、同条を直接適用することはできない(なお、合意管轄であるから20条1項かっこ書きにより適用除外はない)。しかし、その趣旨は、訴訟の遅滞を避け、当事者間の公平の確保にある。ゆえに、移送することがかえってこれに反する場合は、同条の類推適用を認め、移送しないことを認めるべきである。
 本件では、Xの居住地、Lの事務所、YのA支店及びA地裁はすべてA市中心部にある。一方で、B地裁あるB市中心部とは、距離約600km,時間にして約4時間かかってしまう。仮に、B地裁で訴訟活動を行うとなると、交通費等、金銭的負担もかかり、日程調整等も難しくなる。また、A支店の担当者もまた、証人尋問等で呼ばれることが考えられ、被告側にとってもむしろA地裁で行ったほうが便宜的である。
 以上からすれば、B地裁へと移送することは、かえって訴訟の遅延化を招き、むしろA地裁で審理を行うことが当事者の公平に資する。ゆえに、同条の類推適用により、本件訴訟はA地裁で審理されるべきである。

設問2
 ④の事実を認める陳述につき、裁判上の「自白」(179条)が成立するか。
1.自白制度の趣旨は、不要証効の範囲を確定し、もって争点を圧縮する点にある。かかる趣旨からすれば、自白とは、ア口頭弁論期日における、イ相手方の主張と一致する、ウ自己に不利益な、エ事実の陳述をいう。
ア 標記陳述は、第1回口頭弁論期日においてなされているからアを満たす。
イ そして、認めるという陳述は、Xの主張と一致しておりイも満たす。
ウ 自己に不利益な、とは、上記趣旨からすれば、相手方に証明責任ある場合をいう。
 本件の訴訟物は、履行遅滞による本件契約の解除に基づく原状回復義務の履行としての400万円の支払請求権(民法541条)である。ゆえに、原告Xが、履行遅滞の事実を請求原因として主張する必要がある。そして、④は本件事故が起きた事実を示すものであるが、これは本件仕様を有していなかったこと、ひいては、いまだ完全な履行がなされていないことを示すものであり、履行遅滞を基礎づけるものである。ゆえに、この事実は、YではなくXが主張立証すべきだから、自己に不利益といえ、ウも満たす。
エ 事実とは、仮に、間接事実や補助事実も含むとすると、証拠と同様の機能を有する以上、自由心証主義(247条)に反するおそれあることからすれば、主要事実に限定される。
 ④の事実は、上記のように、履行遅滞を基礎づける事実である。もっとも、本件事故が起きたことは、本件仕様を有していなかったという⑤の事実を推認させるものではあるが、かかる事実から直接的に標記請求権の存在を基礎づけるものではない。従って、間接事実にすぎないから、エを満たさない。
 以上によれば、「自白」に当たらず、不可撤回効は働かない。
2.もっとも、その後、Xが訴えの追加的変更をしている。そして、その訴訟物は、本件契約の債務不履行に基づく損害賠償請求としての100万円の支払請求権である(民法415条)。かかる訴訟物からすると、④の事実は、本件事故により下敷きとなった腕時計が損壊したとの事実、すなわち、「損害」の事実を直接推認させるものである。ゆえに、この訴訟物との関係では、主要事実となり、「自白」に該当し、不可撤回効が生じてしまうようにも思える。
3.では、Xが訴えの変更をした後にYが認否の撤回をした点が影響するか。仮に、従前の訴訟物との関係では、自白に当たらなかったにもかかわらず、訴えの変更後の訴訟物との関係では自白に当たるとすると、何ら手続保障なくして自白の撤回が認められないこととなってしまい、被告の保護に欠ける。ゆえに、何ら影響するものではなく、自白は成立していないものとして、Yは、④の事実を自由に撤回することができる。

設問3
 Zが本件日記の文書提出義務を負うかどうかを判断する際にどのような観点からどのような事項を考慮すべきか。
(1)法が、文書提出義務(220条柱書)を認める趣旨として、まず、真実発見の要請があげられ、かかる観点から考える必要がある。
 本件では、Tは、元Yの従業員として設計にも携わっており、設計上の無理があり、上司にこれを進言したが取り合えてもらえなかったとの事実がある。この事実は、本件訴訟においても、重要な事実であるから、真実発見のため、考慮すべき事項である。
(2)次に、業務の遂行や日常生活の障害とならないかという観点も重要である。同条4号ロ・ハはかかる趣旨の規定である。
 本件では、日記が公開された場合、Yに不利に働くものであり、これによって、その後のZの生活に何らかの支障がないかどうか考慮すべきである。
(3)また、所持者のプライバシーの観点も重要である。同条1号、2号、4号イ・二はかかる趣旨の反映であるといえる。
 本件日記は、Tが生前書いたもので現在は妻Zが保管している。そして、Zもプライバシーから証拠とし提供できないとしている。日記は通常人に見せることは予定しておらず、また、Zのこのような意思の尊重も必要である。ゆえに、このような事項を考慮すべきである。

*設問1 3枚目の3行目まで(23+23+3=49行分)
*設問2 5枚目の6行目まで(20+23+6=49行分)
*設問3 6枚目の7行目まで(16+7=23行分)

【設問1】
 謎。出す意味も謎。一昨年の設立、去年の閲覧請求と、設問1はいわゆる「論点」として多くの問題集に記載されているであろう内容だっただけにやっぱり謎。
とりあえずは指示に従い、それぞれの手続きをまず説明し、比較検討することに。
 これはもう条文を軸に要件を明示して当てはめていくというスタイルにした。まあ条文はみんなある程度示すだろうし、むしろ求められるのは手続きの違いを見つけることと、それをわかりやすい文章で説明できるかどうかだと思った。何が正解かはわからないけども差が大きく出る設問でもあるまい。

【設問2】
 配点50点。正直、設問1での混乱を取り戻してくれたといっても過言ではない。というのも、問いを読んだ瞬間「ブルドック!事例で考えるの問題!」と思ったからである。まとめノートって多くの人が趣旨規範ブックみたいに論点ごとにまとめるのが普通だろうし私もそうなんだけど、この問題だけは答案構成をそのままノート化していた。だから、247条類推→法令違反として平等原則の指摘→ただし直接適用はできないから278条2項指摘した上で、必要性と相当性の判断→不公正発行該当性という流れが瞬時に浮かんできた。つまり、事前の準備が功を奏したって感じ。
 確かに百選掲載判例だし、みんな抑えてはいるはず。ただ、やっぱりこの答案の流れがノータイムで出てくるのは精神的に楽だし、その分の時間を他にかけられる(無駄に設問1に時間をかけてしまったが)。
 もちろん、ちゃんと事実を拾いきって評価して・・・ってところの甘さは言わずもがなだけど、筋を外さないでいられたことはよかったかな、と。

【設問3】
 前段はなんか、TKC模試のと同じなのかな?取締役会決議で決定すべき事項を総会でやるのOKなのかって話。まあOKにしましたけども。
 423条1項責任については、経営判断原則使って、内容自体は不合理だけども、過程に不注意がないとして否定。ただ、前段とリンクさせながら書くことができなかったなあーと。わりと結論は責任否定する方向にしている人が多い印象。まあ配点も低いし致命傷ではないかなー。

一応の水準は、そうだなあ、個人的には
設問1・・・ふたつの手続きを条文に即して説明していることと、その比較をしていること
設問2・・・ブルドックを意識して247条の法令違反と不公正発行の検討
設問3・・・定款の効力を362条を示しつつ論じ、任務懈怠を事案に即して検討していること

こんなところでしょうかね。

そういえば5chなんか見てると247条の類推適用うんぬんの議論があったけども、仮に直接適用で書いたとしても、その後の筋が合ってれば普通に点数はつくんじゃないでしょうかねえ。逆に類推適用書いても、後の議論が明後日の方向いくと・・・というイメージ。要は、おそらくあるであろう配点表に載るかどうかですからねえ。類推適用うんぬんのくだりは、せいぜい、素点で3〜5点とかじゃないですか、きっと。逆にいえば、その後の議論に45〜47点あるわけで・・・ここが肝かと。


正直、Aきたんじゃないかと思ってる。期待を込めて主観的評価をAとしますっ…!

設問1
1.乙社が甲社の臨時株主総会を自ら招集する場合
 この場合、①「総株主の議決権の百分の三以上の議決権を」(297条1項)、②6ヶ月前から保有し、③目的である事項を及び招集の理由を示す必要がある。また、甲社定款によれば④「必要があるとき」(定款12条、以下略)に当たる必要もある。
 本件では、乙社は、平成30年1月から6ヶ月以上前である平成29年5月時点で4%の株式を保有していた(①②)。そして、P倉庫を始めとする遊休資産の売却という目的事項、及びこれにより剰余金の配当の配当を増額すべきとの理由を示す必要がある(③)。
 もっとも、④「必要があるとき」については、一義的でなく、甲社の判断に委ねられる点でこれが認められるかは問題である。
2.甲社の定時株主総会の開催に当たり株主提案権を行使する場合
 この場合、一定の事項について目的とすることができる(303条1項)。そして、甲社は、監査役会設置会社であるから取締役会設置会社と考えられる(327条1項2号)。ゆえに、①総株主の議決権の百分の一以上の議決権(303条2項)、②6ヶ月前からの保有、③8週間前までの請求(同項後段)が必要となる。そして、この場合、取締役に対し、8週間前までに、議案の要領の通知を請求でき(305条1項)、手続きに関し、検査役の選任の申立てもできる(306条1項)。
 本件では、平成30年6月の株主総会が予定され、その基準日たる3月31日(13条)から起算して6ヶ月前から1%以上保有している(①②)。ゆえに、③の請求さえすればよい。
3.両者の比較
 まず、保有議決権と保有期間については、いずれの場合も要件を満たしており、差異はない。そして、上記1の③目的事項と理由の提示についても、重い負担とはいえず、これを自ら行うか、あるいは2の場合にように取締役に請求するかの違いであるから、そう大きく変わるものではない。
 そうすると、違いは1の④「必要があるとき」が求められる点くらいである。そして、上記のとおり、その判断は、甲社が行うものであって、剰余金の増額配当がこれに当たるかは定かではない。ゆえに、これを考慮すると、2の手続きを行うほうがより確実性あると思われる。

設問2
乙社は、本件新株予約権無償割当ての差止請求を行うことができるか。
 まず、明文の規定はない。もっとも、無償割当てであっても、株式の希釈化を防ぎ、もって株主を保護するという発行差止め(247条)の趣旨が妥当する。ゆえに、類推の基礎があるから、同条の類推適用を認めてよい。
(1)「不利益を受けるおそれ」(247条柱書)
 本件無償割当てがなされた場合、乙社は非適格者となり、新株予約権の行使が認められないことになる。また、譲渡の際には甲社取締役会の承認が必要となる。そして、取得対価も予約権1個につき、株式ではなく1円となる。これにより、乙社は持株比率が低下する可能性があるため、乙社は「不利益を受けるおそれ」がある。
(2)「法令又は定款違反」(同条1号)
 本件無償割当ては、(1)で示したとおり、乙社を差別的に取り扱うものであり、株主平等原則(109条)に反して法令違反とならないか。
 ア 新株予約権は、「株式」ではなく、同条に直接は反しない。もっとも、新株予約権にあっても、平等原則の趣旨が読み取れる規定もある(278条2項参照)。そして、平等原則の趣旨は、株式投資の収益の予測可能性を確保し、もって、株式投資を促す点にある。かかる趣旨からすれば、無償割当てにつき、必要性及び相当性が認められない場合には、平等原則違反として、法令違反となる、と考える。
 イ 本件では、乙社が過去に短期での売買や敵対的買収による支配権の取得、経営陣の入れ替えにより対象会社の財産を切り売りする投資手法を採ったとの事実がある。また、乙社のBは、甲社事業について理解のない発言をしている。このような事実関係すれば、乙社は、甲社についても、再び同様の手法を行い、甲社の支配権獲得を企図していると認められ、その結果、甲社の事務用品会社としての企業価値が大きく損なわれるおそれがある。よって、無償割当てを行うべき必要性が認められる。
 ウ 相当性について。乙社に対しては、買い増しを行うよう要請するが、乙社がこれを確約した際には、これを解消する手段が設けられており、一定程度乙社への配慮が見受けられる。また、本来株主総会決議による承認は不要であるが、社外取締役等様々な意見を反映して、株主との対話を重視するために、株主総会を開催しており、慎重な手続きを行っている。そして、その結果、出席株主の67%の賛成により可決されており、最終的には、株主らが自らの意思でこれを認めたといえる。ゆえに、相当性も認められる。
 エ 以上によれば、必要かつ相当であるから、平等原則違反とならず、法令違反は認められない。
(3)「著しく不公正」(同条2号)
 主要な目的が、会社の支配権維持に当たる場合をいうところ、Aは、乙社による支配権獲得をおそれ、これを防ぐ目的で上記無償割当てを行っているから、その目的は、支配権の維持にあるといえ、上記定義に当たるとも思える。
 もっとも、敵対的買収等これを防ぐべき必要性ある場合も否定できない。ゆえに、対抗策としてこれを行うべき必要性及び相当性ある場合には、なおも不公正発行には当たらない、と考える。
 本件では、上記(2)で述べたとおり、必要性及び相当性が認められる。ゆえに、不公正発行には当たらない。
 以上によれば、1・2号いずれにも該当しない以上、乙社の標記請求は認められない。

設問3
1.本件決議1の効力について
 本件決議1は、定款に「財産の処分は、株主総会決議によってもすることができる。」旨の条項を追加するものであるが、かかる定款は有効か。
 重要な財産の処分は、本来、取締役会決議の専決事項であって、取締役への委任もできない(362条4項1号)。ゆえに、上記のような定款は、同条に反するようにも思える。
 もっとも、かかる内容を定款で禁止するとの明文の規定はない。また、取締役会決議よりも株主総会決議で行うことは、より総株主の意見を反映するものといえる。加えて、上記条項は、株主総会決議によいって「も」としているにすぎず、なおも取締役会決議で行うことは否定されない。これらからすれば、上記条項は、同条に反せず、適法である。
 以上によれば、本件決議1は有効である。
2.Aの423条1項の責任について
 「任務を怠った」とは、法令違反又は善管注意義務違反をいうところ(355条・330条・民法644条)、取締役においては、弾力的な企業経営を行うため一定の裁量が認められる。かかる経営判断の原則に照らせば、善管注意義務違反となるか否かは、①判断の過程における不注意の有無、②判断の内容自体の合理性の有無の観点により判断される。
 ア ①につき、本件では、Q倉庫が倒壊したことにより、仮に、P倉庫を売却すると、50億円を下らない損害の発生が見込まれていたところ、取締役会において、決議1に従う必要はないとの指摘や現時点では違約金も生じない以上、遵守する必要はない旨の意見が述べられた一方、社外取締役からはこれを遵守すべきとの意見が述べられる等、様々な意見が述べらている。そして、このような中で最終的にはA提案のもと、賛成多数で可決されている。以上からすれば、Aが独断的に行ったものではなく、慎重な意見交換のもと、これを行ったのだから、その判断の過程に不注意は認められない。
 イ ②につき、確かに本件決議1を遵守したものではあるが、50億円の損害が予測できていたにもかかわらず、これを回避せず、結果として多大な損害を発生させた以上、判断内容自体は合理性を欠く。
 従って、判断内容については合理性を欠くが、その判断の過程に不注意はなく、必要やむをえない判断だっといえる。ゆえに、善管注意義務違反はなく、「任務を怠った」とはいえない。
 以上により、Aは、423条1項の責任を負わない。

*設問1は2枚目の18行目まで(23+18=41行分)
*設問2は5枚目の7行目まで(5+23+23+7=58行分)
*設問3は6枚目の22行目まで(16+22=38行分) 《いずれも答案構成用紙に記載あり》

【ファーストインプレッション】
「見開き分のみ、次ページまでなかったため問題文は気持ち短めか」

【設問1について】
 問題文を読んで、ああ、典型的な請負契約と所有権の帰属か、と。もっとも、判例に従うと、請負人が全部材料調達してるため、原始的には請負人に帰属する、本件では、Bに帰属する。これで終わる。でも、設問の後段や分割払いの事情からして、注文者帰属説を書いてほしいんだろうと読み取る。
 実は元々、注文者帰属説は用意していた。だから同時履行の抗弁うんぬん、登記の所有者欄うんぬんを理由付けとして書いたんだけども、端的に契約解釈でゴリ押しするべきだったのかどうか。私の再現では、まず契約の解釈としては否定しているんだけどね。これがどうなるか。
 まあ、契約の解釈をすっ飛ばしてるわけではないからそこはいいんだろうけども。
 設問後段について。717条の土地工作物責任。ネット見ると、要件事実的な整理を求められている的な記載はけっこうあって、確かに717条って、同時審判申出共同訴訟の典型例だしまあわかるんですが、問題文にそこまでの指示がなかったので、あくまでも「土地工作物」「設置又は保存の瑕疵」「損害」「占有者の無過失」という要件を検討するスタイルに。「あれ、これだけ??もっと書くことあるのかな」って疑った人は多いはず。念の為、結論の妥当性として無過失責任と求償(3項)は触れておくことにした。ちなみにこれは余談だけど、論文で出題された内容が、短答で即出題ってのは前にもあったんだよね。そしたら民法の短答で717条3項出てきて草生えましたわ。

【設問2】
 私、民法苦手なんですよね。だから、登場人物としてHまで出てくるだけでもう「あああああああああ」ってなっちゃう。今回も終わったなあ、また死んだなあって思いながら読んでた。
 それでもとにかく整理しなきゃと思い、設問通りに2つに分割して考えることに。そうすると、Hはどうやら賃貸人として賃料請求したいのに対し、Fは、譲受債権の請求であると整理できる。だからそれぞれをせめて丁寧に書くことにした。
 まず、Hのアの請求。賃料請求できるのは賃貸人→地位の移転が必要→要件検討→賃借人Eの同意が不要なことの指摘→対抗要件としての登記は必要→登記あるからOK、これらを指摘。
 次に、Fのイの請求。これは要件事実で考えて、発生原因事実と取得原因事実の2つを検討。後者で将来債権の論証。請求原因事実ではないけど467条も一応指摘。
 正当性について。一番聞かれてるのはここなんだろうけど、わからないからこそアとイを丁寧にした感はある。
 素人考えだと、先に債権譲渡受けたFを保護したい。債権の二重譲渡なら到達日説が使える。特殊性は、一方が賃貸人たる地位の移転による賃料請求であること。もうひとつが将来債権譲渡であること。後者に関しては、書けなかったが、467条からの趣旨から、債権譲渡の通知到達日vs登記具備日ということにして、F勝ちにした。
 5ch見ると、やっぱり将来債権の対抗のとこがメインっぽいし、そこ書けてないのは痛いよねえ。前半丁寧に書いたから許してくれ、と試験委員会様にはお伝えしたい。

【設問3】
 無効って言われて錯誤しか思いつかなかったから錯誤書いた。ただ、契約が2つあって一体的に判断すべき、みたいなことは書くべきだったなあ、と。ここが若干逃げた感はある。
 動機の錯誤って、初めて勉強したときは「表示されてればOK」みたいな理解だったけど、平成28年あたりの判例とかだと、「表示+法律行為の内容となっていること」の2段階プロセスなんだよね、きっと。だから、ここは2段階で自分なりに書いてはみた。
 そのうえで、「要素」性を認定、ただし、友達鵜呑みの重過失あり→共通錯誤ないし重過失で但書不適用みたいな感じで書きました。きっと見えざる細かな論点があるのでしょうが、私にはこれが精一杯です。

 合計7枚目の2行目、つまり6枚は使い切ってる。私、1年目も2年目も民法Fなんですよ(笑)。だから、成績評価実はあんまり読めないんだよねえ。どっちも自分でも思うレベルでひどかったからまあ納得なんですが(それでも1年目はどうしようもないFで2年目はEに近いFだから進歩はしてる)。
 どうでしょう、調子乗ってBくるとか期待してもいいすかね。でも5chでボロクソ言われちゃうかなあ・・・。いや、でも主観的評価ってね、大事だからね!声を大にして言おう!!主観的評価は・・・B評価!!

設問1
1.甲の所有権の帰属について
 AB間においては、甲建物の建築請負契約(633条)が締結されているところ、両者においては、所有権の帰属に関する文言はなく、代金支払期日に関する合意がされているだけである。ゆえに、契約から読み取ることはできず、また明文の規定もないため、その帰属が問題となる。
 ア 請負契約においては、報酬債権の確保が重要であることからすれば、加工の法理(246条2項)により決せられると考えられ、判例は、請負人が材料のすべてを自ら調達した場合、その所有権は原始的に請負人に帰属するとしている。もっとも、本件のように、すでにある程度の代金の支払いがされている場合もある。また、請負人は、同時履行の抗弁権(533条)等により報酬債権を確保することも可能である。加えて、建築確認や保存登記時には所有者欄に注文者の指名が記載されるという実情もある。以上からすれば、請負人が全て材料を調達した場合であっても、その所有権は、原始的に注文者に帰属する、と考える。
 イ ゆえに、本件では、請負人Bが全て材料を調達しているが、その所有権は原始的にAに帰属しているから、本件事故時発生時の甲の所有者は、Aである。
2.CのAに対する所有者としての責任追及による損害賠償請求について
 標記請求は、所有者としての責任である以上、土地工作物責任に基づく損害賠償請求(717条1項但書)と考えられる。
 ア 甲建物は、土地に接着しているから、「土地の工作物」に当たる。
 イ そして、地震によりその一部が損傷、落下しており、これは建築資材の欠陥が原因であるから、通常有すべき安全性を欠いていたといえ、「設置又は保存に瑕疵」がある。
 ウ これにより、Cは負傷し、治療費の支出を余儀なくされているから、「損害」もある。
 エ では、「占有者…に必要な注意」は認められるか。まず、引き渡しがAになされる前であるから、その「占有者」は、未だBである。そして、Bの用いた資材には定評があり、多くの建築物に用いられていたのであって、たまたま欠陥品が用いられたとの実情からすれば、Bがかかる資材を用いたことは必要やむをえなかったといえる。従って、「必要な注意」をしたといえる。
 オ 以上によれば、その要件を充足するから、CのAに対する標記請求は認められる。
 カ なお、このような結果はAに酷とも思える。しかし、同条は占有者に責任ない場合に、所有者に無過失責任を求めるものであって、また、Aは、製造業者に対して、別途、求償することができる(同条3項)。ゆえに、この点でも、問題はないと考えられる。

設問2
1.下線部アについてのHの主張
 アの主張は、HのEに対する賃貸人としての賃料支払請求と考えられる。
(1)標記主張が認められるためには、Hが賃貸人たる地位を取得している必要がある。そして、意思主義(176条)を前提とすると、売買契約の締結、及び賃借権が対抗要件を具備していれば、賃貸人たる地位は移転する、と考える。
(2)本件では、DH間において乙建物の売買契約が締結され、その所有権がHに移転している。そして、賃借人Eは、乙建物の引き渡しを受けており、対抗要件を具備している(借借法31条)。ゆえに、賃貸人たる地位がDからHに移転している。
(3)なお、かかる契約は免責的債務引受としての性質を有し、Eの承諾が必要とも思えるが(本件では、Eへの通知があるにすぎない)、その債務は没個性的であるし、かえってこれを認めたほうが賃借人にも便宜的である。ゆえに、Eの承諾は不要である。
(4)しかし、DH売買は「物権変動」(177条)にあたり、二重の弁済の危険があるEは「第三者」に当たる。ゆえに、Hは、登記を具備しなければ、Eに対し、賃料請求することはできない。
 本件では、Hは、上記DH売買につき登記も具備している。ゆえに、賃料支払請求できる。
 以上が、Hの下線部アについての主張である。
2.下線部イについてのFの主帳
 イの主張は、FのEに対する譲受債権支払請求であると考えられる。
(1)標記主張が認められるためには、①譲受債権の発生原因事実、②上記債権の取得原因事実を主帳しなければならない。
(2)本件では、DE間において本件賃貸借契約(601条)が締結されており、賃料債権が発生している(①)。
(3)そして、DとFは、かかる債権について本件譲渡契約を締結しているところ、平成28年9月分から令和10年8月分までの将来債権についてのものである。かかる譲渡の有効性が問題となるところ、あまりにほ包括的な場合は、第三者の予測可能性を害するおそれもある。ゆえに、債権が特定されている場合には、特段の事情がない限り、公序良俗に反せず有効である。
(4)本件では、上記のように債権の始期及びその終期が示されるとともに、Eに対する賃料債権である旨が明確であるから、特定性が認められる。そして、特段の事情もない。ゆえに、Fは適法に上記債権を取得している。
(5)以上により、有効な債権譲渡がなされるとともに、DからEへの内容証明郵便による通知がなされ、これが到達しているから、その対抗要件も具備している(467条1項・2項)。
 Fは、以上のように主帳する。
3.アとイいずれが正当かについて
 以上からすれば、HもFも、適法にEに対する請求をなしえ、原則として、Eはこれを拒むことはできないとも思える。では、いずれを正当とすべきか。
 仮に、アを正当とすると、467条2項が機能しないことになる。そして、同条は、債務者の認識を通じ、同人を公示として機能させることにより、もって、二重弁済を防止する趣旨の規定である。そして、かかる趣旨は、一方が債権譲渡であり、他方が賃料請求である場合にも妥当する。ゆえに、二重債権譲渡の場合と同様に考えるべきである。具体的には、債権譲渡の通知の到達日と、新賃貸人が登記を具備した先後により、その優劣を決すべきと考える。
 本件では、Hが登記を具備したのは平成30年2月20日であり、他方、債権譲渡の通知は、これに先立つ平成28年8月4日に、Eのもとに到達している。ゆえに、Fは、Hに優先されることになる。
 以上によれば、Fのイの主張のほうが正当である。

設問3
 下線部イが正当であるとした場合、Hは、本件債務引受契約の無効を主張することができるか。Hとしては、賃料請求が認められると考えたために、上記契約を締結したのであり、これが認められない以上、錯誤(95条本文)により無効であるとの主張をすると考えられる。
(1)もっとも、上記事実は、動機の錯誤にすぎない。ゆえに、これが明示または黙示的に表示され、かつ、法律行為の内容となっていると認められなければ、「錯誤」には当たらない。
 本件では、DGHの三者間において協議が行われ、その際、Gが乙建物売却により賃料収入が見込まれる旨提案し、これを受けて、本件売買契約及び本件債務引受契約が締結されるに至っている。そして、④において、HがGに対し、10年間毎月20万円を支払うとされている点は、本件譲渡契約における将来債権の期間とも一致し、金額も月額25万円の枠内のものである。かかる事実からすれば、④の合意は、乙建物から賃料収入が得られることを前提としたものといえ、これが明示または黙示的に表示されている、といえる。
(2)そして、かかる動機は債務引受契約として締結されることにより、GH間の法律行為の内容となったといえる。ゆえに、「錯誤」に当たる。
 そして、上記の事実は重大であり、仮に一般人がその真実を知っていれば、上記契約を締結しなかったと認められるから、「要素」に錯誤がある。
 以上により、「要素の錯誤」が認められる。
(3)では、「重大な過失」あるか。
 Hは、Dから上記Fに対する債権譲渡の事実を聞いたにもかかわらず、友人であるGからの提案を受け、特に調査等を行うこともせず漫然と上記契約を締結していることから重過失が認められる。
(4)もっとも、表意者の保護と取引の安全の保護との調和という同条の趣旨からすれば、相手方において悪意または重過失ある場合や、共通錯誤ある場合には、同条但書は適用されない、と考える。
 本件では、Gは、H同様、債権譲渡の事実を聞いたものの、安定した賃料収入が見込まれることを想定していたのだから、Gもまた錯誤にあったといえる。ゆえに、同号但書は適用されない。
 以上により、Hによる標記無効の主張は認められる。

*7枚目の2行目まで書いています

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